闇の続く夜
□鳴かぬ蛍が身を焦がす
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「どうも〜蛇噛っす。」
「瀬尾だ」
「翡翠です。」
三人はとある会社に来ていた
「あ、お姉さん美人ッすね!!飴いりません?」
受付嬢を軽く口説き始めた蛇噛に瀬尾の鉄拳制裁が入る。
「殴る事ないじゃないっすかー…」
「黙れクソガキ。ナンパなら後にしろ。
単刀直入に言う。副社長にあわせろ」
「すみませんがアポイントメントはおありでしょうか?
副社長は多忙ですので、アポイントメントがありませんと…」
「翡翠」
「はい、副社長さんへのアポイントメントはしてあります。です」
翡翠はゴソゴソと鞄から書類を出す。
「翡翠、語尾が変すよ〜?」
「蛇噛さんを見習って特長をつけてみました。…です。」
「つーわけだ。副社長に会わせろや。」
瀬尾はここぞとばかりにガンを飛ばす。
「会わせてくださ〜い」
「会わせてくださいです。」
蛇噛も翡翠も受付嬢に頼む。
「分かりました。ではそちらのエレベーターで27階までお上がりください
すぐに副社長の金田(カナダ)が参ります」
「サンキューな姉ちゃん」
瀬尾はポケットに手を突っ込んで歩いてゆく
「ありがとー♪」
蛇噛は口の中の飴をコロンと転がした
「…瀬尾さん」
「どうした翡翠」
「私、眠いです…」
そう言った翡翠の目は確かにトロンとしている
「…寝てるか?」
「はい…お仕事になったら呼んでください。飛んで駆けつけます。」
「そりゃ楽しみだ。」
瀬尾は翡翠の頭をクシャリと撫でた。
「瀬尾さ〜ん!!エレベーターきましたぁ!!」
「今行く。
翡翠、呼んだら飛んで来い。それがどこであろうと」
「もちろんです。
姉さまの恋人である瀬尾さんを傷つけさせるわけにはいけませんから」
「あー…そういやお前あいつのことそう呼んでたな…」
「では、おやすみなさい…」
翡翠はとことこと会社を出て行った。