闇の続く夜
□始まりは終わる
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「瀬尾さん瀬尾さん、帰りましょ〜よ〜」
口の中で棒つきキャンディーを転がしながら男…いや、少年は言った。
「ざけんなクソガキ、誰が怒られるか分かってンだろうが」
瀬尾(セオ)とよばれた黒髪の男は鬱陶しそうに前髪を掻き揚げ、忌々しそうに言葉を返した。
「そんなの決まってるじゃないですかぁ…
もち瀬尾さん」
少年は至極楽しそうに飴を噛み砕いた。
「てめぇ…蛇噛(ヘビカミ)…わざとか…あぁん?」
「いてて…痛いっすよ瀬尾さ〜ん…」
瀬尾は蛇噛の頭を鷲掴みにしている。
「大体オレ、ここの空気嫌いなんですもん。
なんつーか、満員電車?」
「意味わかんねーよ。何だよ満員電車って」
「離して下さいって、いったいなぁ…もう…」
蛇噛は再び地面に座り込み、ため息をついた。
「ったく少しは翡翠(ヒスイ)を見習ったらどうだ。静かだろうが」
「あー、あれは夜目が利かないからっすよ。多分あれ、何にも見えてませんよ。
つーかあれ寝てません?」
蛇噛はそう言って車で何も知らずに寝ている少女を見た
「翡翠!!寝るなぁ!!」
ズボッ
「…瀬尾さん、さっきなんか引っこ抜きませんでした?」
「気のせいだろ」
「でもズボッって言いましたよ?」
「気のせいだ」
「何か気温下がってきてません?」
「夜明け前だからだろ」
「じゃあ…