闇の続く夜
□鳴かぬ蛍が身を焦がす
1ページ/9ページ
「おはよ〜ございま…ブッ」
蛇噛は扉を開けて中を確認するなり吹き出した。
幸い、飴は手にもっていて落とす事はなかったが、必死で笑いをこらえているために震えている。
「どうしたんすか瀬尾さんっ…クッ…」
「黙れクソガキ…くそっ…」
言い返した瀬尾の頬には真っ赤な紅葉…とどのつまり手形が指の形までくっきりとついている。
「もしかして彼女さんっすか?」
「愛されてんだよバーカ」
瀬尾はヤケクソになって言い返したが、蛇噛のニヤケは一向におさまらない。
「へー…愛されてると頬に紅葉が出来るんすね〜」
「さわんじゃねーよクソガキ」
「おはようございます。」
瀬尾が蛇噛の人差し指を力一杯ひんまげようとした時、翡翠が入ってきた
「…立派な手形ですね。」
「ったくテメェもか翡翠」
「あの…その…あまりにもくっきりとしてるんで…」
「そうっすよ瀬尾さん」
「ったく…仕事だ」
瀬尾は頬に湿布を貼りながら書類に手をかけた