BOOK08

□C.お前の笑顔があればいい
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「ただいま獄寺」


獄寺の額に口付ける。
その獄寺は一杯の笑顔。

可愛い、可愛いよ獄寺…。
今日も可愛かったね。


俺の部屋の壁にはたくさんの獄寺の写真が貼られている。

綺麗な獄寺の眸は全てこっちを向いてはいないけれど。

拗ねてる顔、俯いてる顔、落ち込んでる顔、授業中に髪を耳に掻き上げる瞬間、パンを頬張る瞬間、眠ってる顔、煙草吹かしてる顔、怒ってる顔、難しそうな顔、
柔らかな微笑み、ツナに向けてる満面の笑顔……。


「どの獄寺も可愛いよ」


全ての写真にキスを贈る。

最後にキスをし終えた獄寺は優しい微笑みを浮かべる獄寺で。

すごく胸が熱い。
高鳴る。めちゃくちゃだ……。


「でも今はな、お前の笑顔だけあればいいんだ」


獄寺の輪郭をなぞり、頬を撫でる。

薄っぺらく、体温なんて柔らかさなんて感じられないけど、心は満たされる。


「今は、な」


壁一杯の獄寺に微笑む。

狂ってる?
好きな奴と、いつも一緒にいたいと思うのは当然のことだろう?


「好きだよ、獄寺」


大丈夫だよ。

偽物(フェイク)に飽きちゃったら、
本物を抱きに行くから。

獄寺に飽きることなんて、ないから。



End

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