BOOK05

□D.甘い後味だけ残して
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※@↑の数週間後…
※料理教室の先生×サラリーマンパロ
※3ページ構成



つい数週間前、獄寺と付き合い始めた俺は有頂天だ。

料理教室の帰りには俺が作った料理を食べさせた。
好きな奴の為に料理を愛を込めて作って、それを愛しの獄寺が美味しそうに(表情には見せないけど)食べてくれる。

これ以上の幸せってあるか?












「え?」

「だーかーら!俺は当分お前の料理教室には来れねえって言ってるんだ」


獄寺が帰る時に俺の目を見ずに言った。

あまりに自然の流れのように言うから、一回聞き逃してしまって、もう一回聞いてみてその内容に固まる。

獄寺を送る玄関でマフラーを巻きながら、じゃあな、と告げる獄寺を慌てて引き留めた。

なんだよ、と獄寺が不機嫌そうに眉を寄せる。


何だよ。
こっちが何だよ。

もうすぐ付き合って1ヶ月だから作った料理も獄寺が好きなものばかりで、機嫌だってすっげー良かったのに。


「なあ何で?ってことは俺ん家にも来ないってことだよな??」

「ああ、来れねぇ。じゃあな」

「ちょっ…!」


扉が乱暴に閉められる。

追っかければいいのだが、俺はその場に踞って深い溜め息を吐くしかなかった。

何でこうなったんだ、と頭を悩ませるしか俺にはできなかった。

何故かって?
大抵機嫌が悪い獄寺に何を言ってももっと機嫌を悪くさせるだけだから。





だから、次の日に電話をした。


「は…?電話番号は使われていない…?」


ここまで避けられたら困った。
獄寺の住んでる家も知らない。

よく考えたら獄寺のこと何も知らなくて、泣けてきた。


「んだよ、獄寺あ…」


キッチンに踞って前髪を掻き上げる。

生徒さんには申し訳ないけど、当分料理教室を休ませてもらうことにして、旧友のシェフに頼み込んで代理をお願いした。

もう何が何だか分からなかった。
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