BOOK05

□@.不意の笑顔が、
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「獄寺君、山本の誕プレ何にした?俺、あんまりこういうのしたことないからセンスが全くなくて…。無難なタオルにしちゃったよー」


タオルなんて色んな人からもらうだろうけど……と、山本ごときのプレゼントで深刻に悩んでらっしゃる十代目。
さすがだ。いくら山本といえども部下のことをよく想ってくださる。

十代目の懐の深さに感嘆していると、ところで、獄寺君は何にしたの?と、俺が持っているプレゼントの箱を見て尋ねてこられる。


「俺のなんて!十代目の素敵なプレゼントに比べたら!足下にも及びませんよ!」

「獄寺君オシャレそうだし…アクセサリーとか?」

「ご冗談を!恋人でもないのに渡しませんよ、そんなもの!」

「ああ、そういう解釈なんだ」


まあ、でも。山本やるには勿体無いくらいの代物だな。
誕生日だし、大事な部下だし、こんくらいは……。


「『世界の謎100選〜アナタノメノマエニモソンザイシテイル〜』これ、実は俺も欲しかったんすけど、」

「えっ、う、うん。山本なら…どんなものでも喜ぶと思うよ、多分…」

「え、」


十代目の顔が雲って、思わず不安になってしまう。
と、そのとき、ツナ〜獄寺〜!という能天気な声が聞こえてきた。


「はよーっす!朝からお前達に会えるなんておれラッキー!」

「あはは、はい山本。誕生日おめでとー」

「おっ、ありがとうな!カッコイイタオルじゃん!部活につーかお」


十代目が嬉しそうな顔をする。
山本も本当に嬉しそうだ。
十代目の素敵なプレゼントの後に俺のプレゼントなんて……。

渡せない、
そう思った時、十代目が俺の両肩を叩いて後ろに回った。
ほら、獄寺君も。と背中を押される。


「ほら、やるよ」

「えっ!ご、獄寺から…?」


山本が戸惑うようにプレゼントを受け取る。
プレゼントをじっ、と見つめた後、開けていい?と控え目に聞いてきた。
頷くと、包装紙を丁寧に破いていく。


「わあ何これ!すっげー面白そうじゃん!」


山本が喜んだ。
俺も何だか嬉しくなってしまって、思わず頬が上がってしまった。


「っ、へへ、ありがと。獄寺!」

「ふん、大切にしろよ!俺様からの有難いプレゼントなんだからな!」


眩しそうに眸を細める山本に、すごくむず痒くなって、
さあ早く行きましょう十代目、と大きく叫んだ。

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