BOOK04

□G.キスも上手くなったから
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24山→獄



イタリア育ちだから、キスは何回もしているんだ。
お前のガキっぽいキスじゃ物足りねぇよ。


中学の時に、獄寺についうっかりキスしてしまって、必死に謝ったり、イタリア育ちだから慣れてるだろ?とか意味分かんない言い訳してたら、
“こんなキス、キスの内に入らねぇ”と俺のファーストキスはあっさり流されてしまった。








それから10年。

俺は今、獄寺を自分の執務室に呼び出して壁に追い詰めていた。

獄寺の頬に伝う一筋の汗。
奥歯を食い縛って、俺を睨み付ける宝石みたいな眸。


俺は獄寺の両手首を掴んで、壁に縛り付けたまま、眸を閉じて顔を近付けた。

唇を合わせる前に、こっそり目を開けてみて、そのままゆっくり目を見開いた。

獄寺は眦をキツく縛って、唇の両端もきゅっと縛っていた。


いつまで経っても何もないから不思議に思ったのか、獄寺がそろそろと眸を開けていく。

俺を見上げて、ぼっと顔を赤く染めた。


「ち、ちちちち、近い!」


ぐって胸を押されて、大人しく後ろに下がると、獄寺が首を傾げた。


「……んだよ……」

「俺、色んな奴とキスしてきたから、今度こそ獄寺を満足させられるようなキスができると思うんだけど」


賭けだった。


獄寺は眉を寄せて、俺を睨み付けた。
そして俺の襟元を掴んだ。


「テメェ!あん時ファーストキス奪っといて、よくも……よくも……今まで…」


俺を掴みあげながら、力なく俯いて、か細い声で言った。

ポタ、と柔らかい絨毯に何かが落ちた音がして、俺は獄寺を抱き締めた。


「やっぱりあの時ファーストキスだったんだ?」

「っ!そうだよ!お前が、お前が!イタリア人だからキスなんて慣れっこだろ?とか挑発するから……っ、なのに、てめえは……」


離せよ、って獄寺が俺の胸をドカドカ叩くけど、胸が嬉しすぎて潰れそうなのに比べれば全然平気だから。


「嘘だよ、全部」


獄寺の手首を掴む。
獄寺が目を見開いて、ポカンとする。


「前したキスとあんま変わらないと思うけど。まだガキっぽいキスだと思うし、物足りないと思うかもしれないけど……」


耳元に唇を寄せる。


「キス、させて」


獄寺の耳が真っ赤に染まって、

キスっていうのは上手い下手の問題じゃなくて、心の問題なんだよ。

って言われたから、

獄寺に対する気持ちだけは誰よりもいっぱいあるから、大丈夫だな。

って笑ったら、自惚れんな、バカ、って、獄寺も幸せそうに笑った。





それから俺達は互いの唇を合わせた。



End

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