BOOK03

□29.天国
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何だろう、ここは天国なのだろうか…。
否、まさかな。

そう思い至って自室の扉を閉めた。

落ち着け、落ち着くんだ山本武。
いくら自分が欲求不満だとか獄寺妄想癖だからって、いくら何でもこんな質の悪い幻覚なんて……。

額の汗をぐっと腕で拭う。
一つ深呼吸をして、また自室のドアノブに手をかけた。


「た、ただいま〜」

「お…お帰りなさいませ、ご主人様!」

「ぶはあぁっ!!」


頭に一気に血が上り、鼻の血管は終に限界だった。

天井に向かって鼻血の噴水を飛ばしながら遠くに慌てたような獄寺の声を聞く。
目の前にはいつもより(いや、いつもの彼もメチャクチャ可愛いんだけれど…)可愛い恋人。


「や、山本…っ」


白のレースで飾られたカチューシャを頭にちょこんと付けて、黒と白を基調としたフリフリのメイド服。
白い太股がチラチラ見えるくらい短いスカートに、その白をギリギリまで覆う黒のニーソックス。

それにご主人様だなんて……。


「好きな奴にこの格好でご主人様って可愛く言ったら、どんな男でもおちるって言ったのに、シャマルの野郎……!」


保健室のオッサン……グッジョブ!

獄寺が俺の頭を抱えて、それを獄寺の柔らかなふ、ふふふ太股に乗せた。

メイド姿の獄寺に膝枕されてるなんて…。
マジで天国見えそうだ。



End

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