BOOK03

□B.我ながら完璧な舞台設定
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このままじゃ一生こんな感じでいそうな二人の背中を押すため、俺はある計画を立ててみた。
名付けて……
『ドキッ!一夏の思い出ときめき夏祭り大作戦ッ!』


「最悪なネーミングセンスだな」

「リ、リボーン!!」
(ていうか、心読むなよ!)


金のカツラをして、天使の羽を付け白い布を体にぐるぐる巻いた、弓とハートの矢を持ったリボーンがチャオ!と窓際に立っていた。


「な…なんて格好してんだよ……」

「恋のキューピッドだぞ」

「キューピッド……」


どっちかというと、おっせっかいばばあ……
ドンッ!


「わー!!」


黒い火薬の塊が横切った。
俺は思わず腰を抜かして、その場に座り込む。

キューピッドが銃口から出る煙にフッと息を吹き掛けて舌打ちする。
そして再び銃口を向けられたので、俺は取り敢えず土下座して謝った。

リボーンがテクテクと歩き出し、俺の『ドキッ!一夏の思い出ときめき夏祭り大作戦ッ!』の計画紙を手にとって読み始めた。


「まあダメツナにしちゃ上々だ。30点だな」


ニヒルな笑みを浮かべたリボーンはジ俺の胸に紙を押し付けて、窓から飛び出し何処かへ消えてしまった。
30点かよ……と思いながらも不思議と不安はなかった。

並盛神社である夏祭りは今週の日曜日かあ…。
先ずは二人を誘わなければ。


「あ、もしもし、獄寺君?」

『お、お疲れ様です!十代目!十代目からのお電話…ありがたき幸せですっ』

「あー、あのね、日曜日に夏祭りがあるんだけど獄寺君も一緒に行かないかな?」

『はい!是非お供させていただきます!』


獄寺君の弾んだ声。
きっと今頃眸を輝かせているだろうな、と思うと自然と笑みが溢れた。


「山本も来るけど、いいよね?」

『へ?山本、ッスか……』

「じゃあ日曜日、17時に俺の家に来てねー」

『えっ、ちょ……十代目!?』


慌てる獄寺君の声を無視して俺は通話終了のボタンを押した。
このくらい強引な方がいい。獄寺君、恥ずかしがりやだからなあ。
(いざとなったら十代目命令乱用だ)

続けて…っと、山本の家に電話をかける。


『はい、もしもし竹寿司です』

「沢田ですけど…山本?」

『おお!ツナか、どうかしたのか?』

「突然だけど日曜日って暇?」

『あー今週の?ちょっと待っててなー』

暫くして、階段をすごい勢いで降りてくる音が聞こえた。

『ごめんなツナ、日曜日は一日練みたいでさー……何かあった?』

「そうなんだー。いや、並盛神社の夏祭りがあるみたいでさー、一緒行かないかなーって」

『ごめんなー』


山本が本当に申し訳なさそうに謝るから、何かこっちまで悪い気分になる。
でも俺の計画があるから、ごめんね、山本……。
お節介かもしれないけど、二人には幸せになって欲しいんだ。(早くくっついて欲しい。)


「仕方ないか…じゃあ獄寺君と二人で行ってくるね」

『えっ!獄寺と…!?』

「浴衣着てみたかったんです!って楽しみにしてたからなー」

『ゆかっ、浴衣ッ?!行く!行きます!いかせてください!』


ティッシュを取る音が聞こえた。
妄想だけで鼻血が出たのか、……それ以上の予想は怖すぎる。


「でも、部活はいいの?」

『おう、去年の夏祭りも楽しかったしな!また皆で花火見よーぜ!』

「じゃあ、18時に並盛神社の石段の前で待ち合わせね!」


がちゃん、と電話を切って、思わずくつくつと笑いが込み上げた。
ふ、ふふふ。
我ながら完璧な舞台設定だ!
あとは二人次第!恋のキューピッド様、成功させてください!

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