お題

□2.盗撮が犯罪って知ってるか?
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パシャッ
カメラのレンズを向けられて、シャターを押される。

チラリと目線をやると、影がスッと横切って気配が一瞬にして消える。

(アイツは本当に天性の殺し屋の前にストーカーだな…)
もうちょっと他に生かせよ、と思う。

全く…。
俺は犯人の家に直接出向いてやることにした。




「山本オオォォ!!」

「うおっ!」


襖をパーンッと開けると、昼間の主婦みてえに牛乳片手に寝転がって漫画雑誌を見ている山本がいた。
暢気にコイツァ…!


「知ってるか…?盗撮が犯罪だってこと。バカな頭じゃ分からなかったか!?」

「えっ?何?盗撮…?」

「とぼけるんじゃねえぞ!今日という今日は裁判所に…」


ん?待てよ…?
山本ってデジカメ持ってたか…?

俺が聞いた限りあれはデジカメでシャターをきる音だった。
確か山本は修学旅行にもインスタントカメラを持ってきていたはず…。


「おい、お前いつの間にデジカメ買った…?」

「え?持ってねえよ?盗撮撮るときは写メだし…ほら」


山本がケータイ画面を見せる。
そこには俺の寝顔が写っていたから、ケータイを折ってやった。
あああ!という山本が情けなく叫んで落ち込むのを後目に、俺は考えていた。


「じゃああの盗撮は一体…」

「ああ、獄寺のこと狙ってるストーカーだろ?今日、獄寺ストーカーしてたら偶然ソイツが盗撮してるの見つけたからちょーっとな」

「へ…」

「二度と獄寺に手が出せないように再起不能にしてやったのな」


ニコニコと笑っているが、何故か恐い。
つーか何で俺ばっかりこんな目に…。

俺は遠くを見つめ肩を落とした。
何故か壊れたように乾いた笑いを溢していた。



End

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