山獄
□最後に愛は勝つ
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「えー!また俺だけ違うクラスー?!」
「お前だけじゃねえよ……バーカ……」
「ひっでえー!ツナあー!」
「ははは。獄寺君も元気出してって。でも…、しかし…まあ……」
三人ともクラスが別々になるとはね。
そんな衝撃の16の春から半年。
クラスの雰囲気にも慣れつつある今日この頃。
そんな親しい友達などはいないが、三年ではクラス替えはなく、卒業までこのクラスとなれば、男は勿論女子とも必要最低限の会話はする程度には慣れてきた。
それは十代目も山本も同じのようだったが、昼食や登下校などはやはり三人で行動を共にしていた。
中学から何ら変わらない俺達。
「じゃあね、二人とも。また明日」
「はい、また明日」
「またな、ツナ」
そして……
「……獄寺…。今から獄寺の家に…行ってもいい…?」
俺達の関係も……。
俺を誘う時、山本は照れくさそうにはにかみながら、いつもどこか緊張している。
来るなって言っても来るだろ、と可愛くない言い方で遠回りにオッケーした。
俺達は所謂恋人同士だ。
中学から付き合っている。
だから恋人独特の擽ったいような甘い雰囲気になるのは当然のことで……。
自然に十代目一人分空いていた山本との距離は縮まり、指先がほんの少し触れ合い、それが合図かのように然り気無く俺の手を握る。
真っ赤になって地面に目を游がす俺。
山本がどこか照れている様子で満足そうに笑んでいるのが分かる。
俺達は変わらずに、順調なお付き合いとやらを続けているという訳だ。