山獄

□NOT!! a protector
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はい、こんにちは。
はい、こんばんはなおはような君も皆まとめてこんにちは。
どうも一癖も二癖もある守護者を抱える、ボンゴレ十代目ボス沢田綱吉です。

最近暑いよね、うん暑いよ。
暑いのにエコエコ騒がれるこの時代なのでボンゴレもクールビズ体制を整え、思い切って空調に頼らない夏を乗りきろうと考えておりましてですね。
うん。大ブーイングにも負けずに推しきって只今猛暑満喫中!!

…………。


「あっちいよー。もうマジで暑さで死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」

「山本ウルサイ。余計暑い」


俺の執務室の大きなソファに深く腰かけて、背凭れの後ろに手を回し、天井に向かって叫んでいるのは旧友の山本だ。
いつもだらしなくて獄寺君に怒られる山本は今日はいつもに増してだらしない。
ノータイだし、Yシャツのボタンなんか三つも四つも開けている。
(だから事務の女が朝っぱらから煩かったのか……。そして獄寺君が不機嫌だったのか……。ああ、そうか。だからか)


「だってこんなんよー…砂漠に長期任務に出た時に太陽照り付ける砂ん中歩き回った時よりもキツイぜ〜?」

「そう、じゃあ。山本明日からまた砂漠探索してきてくれる?」

「ごめん、盛りすぎた。百倍こっちのがマシだわ」


あちぃーという言葉は互いに止まらず、滝のように流れる汗も互いに止まらず、山本はべーっと舌を出してYシャツの襟を掴み、風を送り込むようにパタパタ扇いだ。
ボスだからと威厳誇示のためネクタイを外せない俺にとっては実に羨ましい。

山本を羨望の眼差しで見ていたら、暑さも吹き飛ばすような軽快なノック音が聞こえて、来訪者を招き入れた。


「失礼します」


風がふわりと優しく吹き抜けたような、その透き通る声に、山本が過敏に反応して、
だらしなく腰かけていた姿勢を整えて、背凭れに預けっきりだった背中を真っ直ぐに伸ばし、背凭れの後ろには片手しか回さずに、顔も先程よりシャキッとさせ、優雅に足を組む。

その一連の動作を見てから、どうぞ、と来室者を招き入れた。
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