感謝感激雨嵐
□俺の恋人がこんなにデレるわけがない
2ページ/5ページ
「獄寺!」
「野きゅ……山本…」
え、今、
野球バカって言いかけたけど山本って呼んでくれた!?
嘘!マジで!?
すっげー嬉しいんだけど!
感動していると、少し照れたような獄寺が俺を上目遣いに見上げてきた。
「で、何の用だよ?」
「あ、そうそう。今日ツナ、笹川と帰るって聞いてさ。よかったら、一緒帰らねえかなあ…って思って」
いつもはすんなり却下される。
十代目の護衛が、とか、お前待ってる程暇じゃねえんだ、とか言って。
まあ、今回も断られるだろうけどダメ元で誘ってみた。
二度あることは三度ある、ってことは四度目はないってな。
そんなこんなでもう百回は振られているだろうけど。
まあ、三度目の正直ってことは四度目がないのと同じだからなあ…。
って俺、何か詩人っぽい?
「いいぜ」
「へ?」
…って、え?
い、いいの?
固まる俺に焦れたのか、獄寺は頬を可愛く染めながら、俺を睨むように見上げる。
「だから待っててやるって言ってんだよ!分かったらさっさと部活行け!」
「い、いい今の絶対な!男に二言はないんだからな!」
興奮してまくし立てたら、獄寺がふ、と柔らかく笑って、おう。って呟いた。
早く行かないと待たないぞ、なんて獄寺が可愛く脅しをかけるから、俺は慌ててエナメルバック肩から下げて、部活に行こうとした。
すると、今度は獄寺じゃなくてクラスの女子に呼び止められた。
確か…最近よく話しかけてくる顔で…?
「武」
「え、何?」
「あのね、私ね、武が部活でも頑張れるようにって、お守りを…」
そう言って何か出そうとする女子生徒。
あー、獄寺が見てるとこで…こんな見せたくないんだけど……。
「山本!」
「へ!?」
「部活…頑張れよ」
〜〜っ!
どきゅん!ってキタ!今どきゅんって!
あんな優しい言葉、たどたどしく頬染めながら上目遣いで…!
なに、あれ天使!?俺の天使!?
「おう!頑張ってくるぜ獄寺っ!」
お前の為なら!!!
俺は教室を飛び出すように走って、直ぐに部活へ向かった。
何か今日、獄寺が可愛すぎてドキドキが止まらない。顔、熱いのも止まらない。
ついでにニヤニヤも止まらない…!
部活に行ったら、なんかいいことあったのか、って皆に聞かれた。
恋人が今日はデレデレなんだ、って可愛いんだって自慢したかったけど、獄寺そういうの嫌いだし、俺だけの幸せにしとこう、と心に留めた。