感謝感激雨嵐

□曖昧Main
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「ああ分かった!もういいよ!獄寺なんかもう知らねえ!!」


そう言って山本が部屋を出ていったのは何ヶ月前だろう。

喧嘩した内容なんか、正直あまり覚えてない。
確か俺がベッドの上で情報を聞き出したとか、男に抱かれたとか、そんな失礼極まりない噂が立ち始めた頃からだったと思う。

言わなくても分かると思ってた。
寧ろ弁解みたいな真似はしたくなかったし、やっていないのだから何も疚しいことなんてないし山本にわざわざ違うから等と言う必要ないと思ってた。

―――分かってくれてると、信用してくれてると思ってたんだ。

それがこの様だ。
どういうことだよ、と問い詰められ、逆上してしまい、口喧嘩。
口喧嘩とは思ってもいないことまでスラスラと出てくるもので、俺は山本を傷つけたし、山本は俺を傷つけた。


こんな酷い喧嘩、したことがなかった。
いつも山本が折れて終わりだったから。

もう何ヶ月も山本からのあからさまな拒絶を受けて、心が俺自身が耐えられる訳がなかった。


ふと、脳裏に焼き付いたのは、別れ。
そんなこと、目頭に込み上げる熱をぎゅっと眸を縛って抑え込んだ。
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