お題

□5.大人しいとなんだか寂しい
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山本が夏風邪をひいた。
声も出せないくらい酷いらしい。
熱もあるらしい。
日頃の(俺への)行いが悪いんだ、とザマーミロと思った。

なのに学校に来ているバカにも、そのバカらしい理由にも俺は呆れた。


何か、ごくでら見ねえと…なんて言えばいいんだろ。一日!ってかんじがしないのなー。

と、数学と書かれたノートに殴り書きして見せた。


「山本大丈夫かなあ…」

「え」


なんてお優しい十代目!
あんなバカ心配しなくてもいいんですよ!自業自得です。


「獄寺君、さっきから山本見てるもんね。やっぱ心配だよね?」

「なっ!お、俺は山本なんか見ていませんよ!いつも見てるのは十代目だけです!」

「うーん…本当に元気ないなあ…山本」


(あれ?十代目に上手く流されたような気が…。まあいいか)

あのバカが下らない理由の為に、無理して学校まで来るから悪いんですよ。


「いつもなら獄寺君にべったりなのに、ずっと机に伏せてるし…。もしかしてすっごく体調悪いんじゃ…」

「っ!十代目!心配することないですよ!でも、お優しい十代目がどうしても気掛かりであるのなら、アイツの様子見てきますんで!」

「うん、じゃあ、よろしくね」

「はい!」

「(全く、素直じゃないんだから…)」


俺は山本の席にズカズカと行き、山本の髪を引き上げた。


「ーーーっ!?」


山本が声に出さない悲鳴を上げる。
顔が真っ赤だ。
目もウルウルしている。
ったく、バカ。


「山本、帰るぞ」


山本は驚いた顔をして、フルフルと頭を振る。

俺は強情な山本の頭を殴った。


「お前が大人しいと、調子狂うんだよ…」


獄寺、って、山本の唇が動く。
更に顔が真っ赤になる山本。

何だよ、その間抜け面。


「十代目も心配してくださってるんだ。ほら、帰るぞ」


今度は山本は渋った様子を見せたが、頷いた。
そして山本は今度は国語のノートに何か殴り書きをして、俺に見せた。

ごくでら大好き

バカ!とそのノート取り上げて、そのノートで山本の頭を叩いた。
それでもニコニコと嬉しそうな山本に、俺は唇を曲げてみせた。

あーあ、こんなの、絶対に本調子になったら調子乗るに決まってる。

でもまあ…。
へへ、とまだ嬉しそうに笑うガキみたいな山本を見て、溜め息を吐く。
仕方ねえか。



End

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