お題
□3.その笑顔、怪しすぎる
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日曜日、デートだと山本が騒ぎ立てる日が近付くにつれて、山本が気持ち悪いくらい笑っている。
否、元々何がそんなに楽しいんだってくらいヘラヘラ笑っている奴だったが、今日は何というか…雰囲気まで浮かれてる。
「山本浮かれてるね…」
「はあ。何がそんなに楽しいんでしょうね。毎回思うんですけど」
「あ!ツナ!獄寺っ!」
「げっ、気付いた…」
ふと、俺達に気付いた野球バカは、野球ヤロウ達の輪を抜けて、駆け寄ってきた。
「げっ、こっち来た…」
「ハハハ!おはようなのな!」
「おはよう山本」
「?」
山本がふと俺を見て、瞬間、ぱあっと花が咲くように嬉しそうに笑った。
「何か今日、獄寺も嬉しそうなのな!」
「はああ?」
どこかだよ!と怒りそうになるのを通り越して、もうがっかりなる。
「すげー嬉しい。俺も日曜日が楽しみでどうも浮かれが抜けなかったんだ」
山本が優しい目をして真っ直ぐ笑う。
反則だ…っ!何でこんなのにキュン!とこなきゃいけねえんだ俺ぇぇ!
獄寺は山本がこのデートをどんなに楽しみにしていて、この日の為に努力をしていることを知らない。
一方、山本がデートの日の為にビデオカメラや新しい服を買ったことや、必死に家の手伝いを増やし金を貯めてることも知っているツナは、最近教室でもオープンになってきたよなあ、この二人。とぼんやり思っていた。
(ていうか獄寺君、本当に自分で気づいてないのかなあ…。眉間の皺、無くなっていること……)
End