お題

□1.彼が猫になっちゃった!
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20XX年-*/**

リボーンさんがジャンニーニに十年かけて造らせたウイルス兵器が遂に完成した。
ウイルス拡散範囲内の敵を全て弱生物に変えてしまうという恐ろしい兵器……。


「あちゃー、やっぱ失敗でしたねぇ…」

「そうだな…これじゃ弱生弾とは呼べねえなあ…」

「そうッスね、敢えて名前つけるとしたら……」


足元に擦り寄る一匹の猫を抱え上げた。
その猫は嬉しそうに頬を寄せてくる。


「にゃんにゃん弾…ッスかね?」





恋人が猫になりまして、






「……相変わらず獄寺さんはネーミングセンスがないですねえ」

「っるせーよ!つーか、これどうにかしろよ!!」


抱えていた猫をジャンニーニの顔に押しつけるように見せた。

運悪く…っつーか、『※実験中立入禁止』という貼り紙も無視して入ってきて巻き込まれた山本がこの猫なのだ。

にゃー、なんて笑顔で哭く姿は、暢気なアイツの笑顔を彷彿させる。
こんな時まで暢気に…と少し頭が重くなってしまう。


「おい獄寺。ソイツのことは任せたぞ。チッ…また研究し直しか…」

「そうですねぇ……」

「あ、ちょ!リボーンさん…っ」


俺の制止に気づく筈もなく、リボーンさんとジャンニーニは二人でブツブツ言いながら出ていってしまった。
猫を腕に抱き抱えたまま、暫し茫然とする。

にゃー
山本に獄寺、と呼ばれた気がして腕の中の猫に目を移す。
そして溜め息。


「お前なぁ…ほんとバカじゃねえの?これからどうすんだよ…。明日も仕事だろーが」


山本は、俺の名前を呼んで実験室に入ってきた。
俺を探して……。
理由は昨日、喧嘩したことだろうけど。

本当に…バカか、俺……。


「ごめんな…」


にゃー
不思議なもんで、猫にも表情があるように思える。
俺も、ごめんな。
って言ってるような気がした。そんな顔に見えたような気がした。

ぺたり、と頬に柔らかな小さい手が触れる。
ああ、山本なんだよな、やっぱ。
変なとこで実感した。


「どうやったら、戻るんだろうな…」

「時間、じゃね?」


……は?
山本の声が本当にしたから、慌てて腕を見るけど、猫はいない。

いつの間にか、抱き締められてるのは俺で、山本の顔が上にあった。


「ハハ!やっぱあれ失敗作みたいだな」

「は…?な…っ!?」

「つーわけで、」


ガシ、と肩を掴まれて、ぐい、と笑顔を張り付けた山本の顔が近づく。


「仲直り、しよーぜ?」


どさっと押し倒される。
完全に精悍な顔つきに変貌した山本が覆い被さってくる。

っ、コイツなんて一生猫だったらいいんだっ!バカッ!



End

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