お題

□03.眠り姫は此処に
1ページ/1ページ

*獄寺視点



放課後、野球バカの部活が終わるのを教室で待つようになったのはつい三週間前。

三年も半ばにしてめでたく付き合うことになった十代目沢田綱吉さん笹川京子ご夫妻…なんて気が早すぎたか。
十代目が想いを寄せ続けた笹川。十代目の熱烈アタックの末、漸くお付き合いをされ始めた二人。
俺が邪魔する訳もいかず、山本の、獄寺フリーなら俺と帰らないか?という誘いに断る理由もなく、山本と帰り始めて早三週間経った。

俺は何となく気づいている。
山本の熱っぽい視線。それが意味することと他と違う好意…。
そしてそれが嫌ではない。寧ろ嬉しいなんて思ってしまう俺の感情にも…。
とっくに気がついているんだ。

しかし俺が自ら言い出せる訳もなく、山本が踏み込んで来るのを待っている。
例えばいつもの放課後、俺は寝たふりをしている。
これは山本に気持ちを伝えさせるチャンスのつもりなんだ。
どっちも臆病な俺らだから、不意打ちでも卑怯でも、面と向かってなくてもいいから……。


「獄寺…帰ろうぜ?」


だから山本。
起こす前にすること、あるだろ…?

眠り姫はここに…
(好きって言うまで、絶対自分からは起きないから)



End

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ