アルカナ
□泡沫に消えて
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※死ネタ シリアス
「パーチェ……?」
冷たくなった手は、手袋をしていても伝わった。そして、それが何を意味しているのかも。
人の死って、こんなにも一瞬の事なんだと実感した。
さっきまで生きていたのに、今の一瞬で…還らぬ人となる。
多分、これは一番恐ろしい事だと思う。
ちょっとパーチェから離れた、その一瞬で…。
「……バンビーナ…。」
「っ……、」
「お嬢様…パーチェの……くっ、パーチェの死を…無駄に…しないようにも…、」
「わかってる…よ…ルカ。」
言いたくない、認めたくない。だけど…それが現実なんだ。
パーチェはもう起きなくて、もう笑わなくて…。
もう、私に愛してるとも言えなくて…───。
──────
────
───。
「おっ嬢ー!愛してるー!」
「ぱ、パーチェ!い、いきなり抱きつかないで!」
「ごめんごめん、でもお嬢が可愛くって。」
「も、もう……、」
「あ、照れたお嬢も可愛いよ。」
「か、からかわないで。」
「えー本当なのにぃ。」
唇をとんがらせて、ちょっと不満げな口調。
パーチェはいつもこの顔をする。それを見るたびに、あぁ、愛されてるんだなぁ。と実感した。
「俺はね、いつどんなときでもお嬢の傍に居たいの。」
「うん…私もだよ…。」
「それでね、こうやって毎日愛を囁いていたいんだ。」
「お嬢、愛してる………って。」
耳元で囁いてくるから、私の体はいつもピクリと反応してしまう。
パーチェはそれが面白いのかクスッと笑っていつも耳にガブリと噛み付く。
そして、ベッドにつれてかれるのがお約束みたいなものだった。
照れて嫌だと反論を言うが、実際はパーチェといるのが心地よくて、心の中ではパーチェともっといたいと叫んでいる。
「んっ…はぁ…お嬢、」
「んぅ…ぱぁ、チェ…こんな所で…ダメ…、」
「なら、俺の部屋行く?」
「…………うん、」
「もう…お嬢本当に可愛い…。」
ギュッとパーチェの大きな体に抱きつけば、いとも簡単に私を持ち上げる。
その後はまたパーチェとまた一緒に笑いあっている。
そんな幸せな日が続くのだと、思っていた────。
「なのに…なんでいなくなっちゃうの…、」
私の頬を涙が伝う。
現実が受け入れられなくて、泣いてる事さえわからない。
だけど無意識に涙がでてきてしまう。
こんな時パーチェがいたら、なんて言ってくれるだろうか。
「お嬢、泣かないで。俺、お嬢の涙なんかみたくない。だから…笑っていてよ。お願い。」
優しくて、ちょっと困った笑顔で…。私の大好きな顔で言ってくれるかもしれない。
「パーチぇ…………パーチェ…お願い、だから…戻ってきて…、」
震えた声で、私は力一杯声をあげた。
end
終わり方が後味悪くなってしまった(・ω・`)そしてリハビリ文になってしまった。パーチェとお嬢は幸せでいてほしいです←