アルカナ
□君に愛を表そうか
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「………。」
「どうしんだルカ?バンビーナを厭らしい目で見て。」
「い、厭らしい目なんてしてません!」
「なんだよ、だったらなんでパーチェと話してるバンビーナを見てんだァ?」
「………っ!それは…、なんでもありません!」
私はスタスタと部屋に戻っていった─────。
最近自分がおかしかった。なぜだかお嬢様を見てると、自分の中の何かが外れてしまいそうな気がしてならない。
白い肌に柔らかな頬。私はは見てると動悸がとまらなくなる。
「ルカ!」
「お、お嬢様!なんでございましょう!?」
「一緒にお散歩しない?」
「散歩…ですか…?」
「マンマの育てたバラがきれいなの!見に行こう!」
「っ……!」
ギュッと私の手を握り、身長差からか笑顔で上目遣いをする。
お嬢様も普段はこんなことしないのに、どうして…。
ほらまた、ドクリと心臓の音がなった。
***
「きれいでしょ、ルカ?」
「え、えぇ…。」
パァッとバラのような可愛らしい笑顔を浮かべてバラと見つめあうお嬢様。
時節、私の事が気になるのかチラチラとこちらの様子を伺う。やっぱり、お嬢様は何か企んでる。
だが、わからないので私はお嬢様のなすがままについていくことにした。
「ルカ……。」
「な、なんでございましょう?」
「もしかして、つまらない?」
しゅんと沈み哀しそうなお嬢様の顔。もしかして、私は今そんな態度をとってるように見えるのでしょうか。
「とんでもない!私はお嬢様と一緒ならどこにいても幸せです!」
「なら、なんで最近私といると目をそらしたり動揺したりするの?」
「そ、それは……、」
気付かなかった。お嬢様に対する感情を無理矢理押し殺そうと必死に耐えてきた。
だが、それが自分でも気付かないうちにお嬢様を困らすような態度になってしまっていたらしい。
「申し訳ありませんお嬢様。ですが、私は普段と何ら変わりはありませんよ。いつものルカでございます。」
いつもの優しい笑顔を作った。いつもの…普段どおりのルカを演じるように…。
「……ルカの嘘つき。」
「え…?」
「…無理して笑顔を作ってるでしょ…。」
私の服を引っ張ったかと思ったら、お嬢様のきれいな瞳には大粒の涙が浮かんでいた。
「お、お嬢様!?どうしたのですか!?」
「ねぇ、どうして無理して笑顔を作るの…?どうして何も言わないの?…どうして私を頼ってくれないの?…私の事が嫌いなの?ねぇ……ルカぁ…。」
ボロボロとついに涙が溢れだした。
強くてしっかりしてるお嬢様ではなく、まるでお嬢様の弱い部分を曝け出したかのような表情に私は自分のリミッターがふっきれた。
罪悪感に襲われながらも、私の行動は本能的でまるで自我をなくした獣のようだった。
「フェリチータ!」
「ルッ……!」
ギュッと力強くお嬢様を抱き締めた。すると私の鼻をお嬢様の甘い匂いがかすめた。
あぁ、私はついにわかってしまったようです…。自分の気持ちに…。
押し殺していた、本当の感情に。
「フェリチータ…ごめんなさい。私は貴方に触れたら、今の関係が壊れてしまって、もう元に戻らなくなるのかと考えたら、私は不安でしょうがなかったのです。」
「ル……カ…、」
「でも…今なら私の…本当の気持ちが言えます。」
そういえば、お嬢様の涙はいつのまにか止まり笑顔が戻っていた。
「好きですフェリチータ。誰よりも…何よりも…。」
「私も…ルカが好き…。大好き。」
「お嬢様…。従者として…貴方と思いが通じあって本当に幸せです。」
「うん、私も嬉しい。ルカが同じ気持ちだなんて。」
まるで美しいバラのような笑顔。そんな顔が愛しくて愛しくてたまらなくなった。
「愛しています、フェリチータ。」
私はお嬢様の唇にひとつキスをした。
(んっ…ルカぁ…、)
(そ、そんな誘わないでください!これ以上…、)
(??)
end
ルカフェリ結婚してくれ。