short story

□ろんりーぽっぷ
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※残念なイケメンキャプテン


「ゲホッ、ゲホッ…。あ゛ぁ…辛い…。」


服の中から体温計をだせば39度と示される。

これはまさしく正真正銘の風邪だ。


風邪なんてひくのは子供の頃以来だが、さすがに久しぶりに風邪を引くといつもより体がだるくてかなり辛かった。



「しかもこんな日に限って…ついてないよな…。」



今日は久しぶりにサッカー部が休みだと言っていた。

普段、拓人は革命ならなんやらで練習に追われて全然構ってなんかもらえない。

だから、今日は学校が終わったら拓人と一緒に久しぶりにデートでも…。


と思っていたのが簡単に打ち砕かれてしまった。



「あぁ、本当にないわ…。」


悔しくて悲しくて涙がでそうだった。


だけどグッと我慢して固唾を飲んでいたが、それが寂しさを逆に引き立たせてしまいよけいに泣きそうになってしまいそうになった。



「拓人…寂しいよ…。」


ズビッと鼻水をすすりながらあたしは布団に潜り込んだ。

本当、風邪といいあたしはガキかよ。
そう考えるだけでイライラとしてきて嫌だった。



「姫…?」

「え??」

「姫、大丈夫か?」

「え……たく…と?」

「そう、俺だ。」

「な、なんで!?」



思わず布団からガバっ!と起き上がってしまった。

というか、なんでここに?いつのまにいたの?



「なんか鍵開いてたから入ってきた。」

「いや、まずインターホンしなよ!怖いから!」

「わ、悪い…。次から気をつける…。」

「はぁ…まぁいいけど。」


もしや、お金持ちの間ではインターホンをしないのが礼儀なのか?


これだからボンボンは…。でもまぁ、拓人がお見舞いに来てくれただけ嬉しい。



「次からはヘリじゃなくて車で来るようにするよ。」

「え!?窓から入ってきたの!!?」


拓人には驚かされてばっかりです。



「ガホッ、ガホッ…。」

「だ、大丈夫か!姫!?」

「大丈夫だよ、だから拓人に移しちゃ悪いから帰っていいよ。」

「そんな事、するわけないだろ!待ってろ、今アメリカの幾多の原因不明の病を治した名医呼んでくるから…、」

「いいです!いいです!ただの風邪ですから!」

「でも、もしそれが重い病気で何かの予兆とかだったらどうするんだ!」

「いや、ガチでただの風邪です!」



「そうか…?」とオロオロしながらケータイを閉じる拓人は可愛かったけど、さすがに名医に来られてもやっぱり困るよな、うん。



「姫、なんか欲しいものあるか?」

「なんもないよ…。」

「ならしてほしい事とかあるか…?」

「なら……、」

「なら……?」



ちょっと恥ずかしくて口籠もる。


でも今してほしいことだよね…。



「傍に…いてほしい…。」


あたしは思わず恥ずかしくてそっぽを向いてしまったが、拓人は穏やかな笑みであたしの手をギュッと握ってくれた。



「そんなの、いくらでもいてやるよ。」

「ありがとう…拓人。」

「いいや、大丈夫だ。姫の傍にいれるなら俺だって幸せだ。」



ポンポンと頭を撫でてくれる拓人。

やっぱり拓人の手は温かくて大好きだ。



「でも、せめて何か食べるものでも作ってやるよ。」

「え、大丈夫だよ?拓人に迷惑だし…。」

「でも、風邪の時はやっぱり何か食べるものがあったほうがいいだろ?」

「でも……、」

「大丈夫だ、おかゆだから心配するな。」



ニコリと安心させるかのような優しい笑みを見せてくれた拓人は一階に降りていった。


でもやっぱり、拓人がいてくれて本当に嬉しい。

改めて拓人の彼女だって確認できた。



と思っていたが…。



"ガシャーーン!!!"


「………………。」



やっぱり、心配だ…。



仕方なく、あたしは一階に降りていった。



***



「悪い…姫」

「い、いや…大丈夫だよ…。」

「俺、料理はいつもコックがいたから俺料理できないんだった。」



よく何か食べるもの作ってあげると言いましたね。



「俺…いると姫の熱あげるだけで迷惑だよな…。」

「そんな事ないよ、拓人の気持ちだけで十分嬉しいよ。」

「でも…俺…やっぱり彼氏だから…姫に何かしてやりたい。」



拓人はキュッと軽く唇をかむと、今にも泣きだしそうだった。



「た、拓人…?」

「よし、わかった。」

「え?」

「俺、姫と一緒に寝る。」



は?



「ちょ、ちょ!な、ななな何言ってるの!?」

「言葉のまんまだが?」

「だ、だだだからって!いい一緒に寝るって…ちょ!ベッド入らないでよ!」



ゴソゴソとベッドに入っていく拓人。


かなりぶっとんだ発言だがやっぱりイケメンの拓人がベッドで寝てるって考えると…




なんだかエロい。



「姫、どうした?入れよ。」



一人ぶんのスペースをあけてほほえんでる拓人を見てたら何もいえずに、あたしは恥ずかしがりながらもベッドに入った。



「拓人……近いよ…。」

「そうか…?姫、こんなに熱い。」

「っ!」



ギュッとあたしを優しく強く抱きしめる拓人に、あたしは沸点を迎えそうな勢いだった。



「は、恥ずかしいよ…。」

「病人なんだから、そんな事言うな。今日は甘えていいんだからな。」

「そう…なの?」



あぁ、と悟るような優しい笑顔を見せてくれるとあたしもギュッと拓人を抱き締めた。



「いつもこんな事できないからな…。」

「ありがとう…。」

「あぁ、だから今日はゆっくり休め。」



また優しく頭を撫でてくれる。

この時間がずっと続けばいい。

そんな事を思いながら、あたしは寝てしまっていた。



「愛してる、姫。」


そう言ってくれたかどうかは、夢か現実か寝ぼけててわからなかった。


ろんりーぽっぷ
(もしかして、この状況ってやばいのか…?)



end

20万記念forあみ様!
いかがだったでしょうか?(´・ω・`)ギャグがマイナーでベタな展開満載なお話になってしまいましたが、拓人おぼっちゃまはこんなミスとか意外としそうな…←サッカーは万能なのに庶民常識わからない神童かわいい(・o・)ぇ←リクエストありがとうございました!

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