short story

□欲しがりな人
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「姫、俺このシューズほしいな。」

「また?蘭丸ってばこの前も買ってなかった?」



蘭丸はあたしの彼氏です。


彼女になって、あたしは蘭丸の意外な性格にちょっと驚いてしまった。


蘭丸はわがまま…、
いえ、蘭丸は欲しがりな人ということ。



「あ、姫。このカフェ行きたくない?」

「新しくできたばっかの?」

「そう、でも姫と行くなら新しい服ほしいよな。」



うーん。と頭を悩ませている蘭丸を見るとなんだか可愛く見えてきてしまう。


それにしても本当に蘭丸は欲しがりな人だ。



「姫、もっとゆっくりダラダラしてもいいんだぞ?俺の部屋だし。」

「いや、でもさすがに人の家だし…。」

「ふーん。なら俺は姫に抱きついてる。」

「は?なんで?意味がわからな…、」

「ただ姫に抱きつきたいんだよ。」



そういってギュッと優しく抱きついてくる蘭丸。

この体温とこのぬくもり。なんだか少し安心した。



「蘭丸ってさぁ。」

「なに?」

「欲しがりな人だよね。」

「欲しがり?」

「うん、なんでも欲しがるって意味。」



あたしは蘭丸が持っていた雑誌に目を落とした。



「この靴だって、新しい服だって。なんでも欲しがってるじゃん?」

「そうか?もしかして、姫はそんな俺が嫌か?」

「ううん、そんな蘭丸も大好きだよ。」



思わず自然の流れでサラッと言ってしまったが、よく考えたらあたしは今蘭丸にすごい告白をしてしまったのかもしれない。

だが、それに気付くのは蘭丸が妖しく笑った直後だった。



「へぇ、でも俺ってよく考えたら欲しがりなのかもな。」

「え?」

「だって、今もすごく欲しいって欲求がとまんねぇし。」

「な、何に…?」

「わからないのか?こんな状況なんだぜ?俺がそこまで大人だと思うか?」

「らん…ま、る」

「一応、俺は健全な男でお前は彼女。わかるよな、姫?」



あたしの首筋にツゥと伝う蘭丸のかたい指に、あたしはゾクリとした。


耳元で囁かれる蘭丸の艶っぽい声は、あたしの脳を麻痺させた。

そのとたん。背中に強い衝撃が走り、あたしの目の前は天井と蘭丸しか見えなくなった。



「お前がほしい、姫。」

「蘭丸……、」

「やっぱりもう無理。我慢してたけど、やっぱり押さえられないや。」



ちゅっ、とおでこに軽いキスをするとくすぐったさのあまり、あたしは身をよじらせた。



「なぁ、姫をもらっていいか?」

「……………うん。」

「………ありがとな…。」



そういってニコリと笑った蘭丸を見た後、あたしの口内はビリビリと電流が流れた。


激しくて、だけどどこか優しくて。

あたしを求めている、欲しがっている。キスすればするほど、痛く気もちいいほどそれがわかった。



「っはぁ…姫、」

「んっ……ぁっ…ん…、」

「好き。好きだ…姫。」

「あたしも……だよ…。」



そういうと、また蘭丸は笑ってあたしにキスをした。


あぁ、やっぱりこの人は欲しがりな人なんだ。


欲しがりな人


end


20万記念for萌恵様
欲しがりっていいますよね?←ぇ
なかったとしても、夢優はこんな
解釈をしてみました(・o・)ぇ←甘甘になりましたでしょうか?(´・ω・`)
蘭丸って本当に中学生男子って感じで可愛い笑リクエストありがとうございました!

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