short story

□野獣の見せた横顔
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「先輩っ……、」

「なんだ姫?」

「あの、そのっ…。」

「わかってたんじゃないのか?家に呼ばれてお前は了承した。」

「うぅ……。」

「つまりこういう事を了承したんじゃないのか?」



南沢先輩は私の彼氏だ。


ずっと憧れていた一つ上の先輩だけど、南沢先輩から告白されて私たちは今付き合っている。


でも、正直今でも私は南沢先輩の彼女でいる自信がない。


南沢先輩はサッカー部で女子からは憧れの的で…。

こんな地味でちんちくりんな私が付き合っていいのだろうか…。


そんな事を考えながらも、私は南沢先輩に今ベッドの上に押し倒されてた。



「っ…南沢せんぱっ、」

「姫が望んだんだ。俺はもうとめられねぇよ。」



ちゅっ、と首筋にチクリとした痛みを感じる。


「ひゃっ」と声をあげると、南沢先輩はニヤリと妖艶な笑いを見せてきた。



だけど、やっぱり私は心のどこかで疑ってしまう。




南沢先輩は私をただの遊びとしか思ってないのかと。



「姫、何考えてるんだ?」

「えっ……?」

「今は俺の事に集中しろよ。」

「えと…南沢先輩…は…、」

「あ?」

「こういうの…慣れていますか…?」





あぁ、聞いてしまった。


そういうと先輩はポカーンとした顔で私の事を見ていた。


やっぱり、疑っているのがばれてしまっただろうか?



しかし、先輩はこう切り返してきた。



「さぁな?どうだと思うか?」



そうして私のワイシャツのボタンに手をかけてきた。


なんでだろう、そう言われるとどんどん考えが悪い方向に向かっていく。


胸がぎゅーっと締め付けられる。



「姫っ……!?」

「へっ……?」



先輩の手が止まったかと思えば、私の目からは涙があふれていた。



「………っ、」

「せ、先輩、ち、ちがうんです!」

「…………。」



こざとくして、南沢先輩は私のワイシャツのボタンを全てしめ、ベッドから降りてしまった。


あぁ、嫌われた。捨てられた。

だが、例え遊びの恋だろうと私は南沢先輩のそばにいれるならそれでいいと心のどこかで思っていた。



「先輩、泣いて本当にごめんなさい。だから続きやりま…、」

「謝らないでいい。」

「え?」

「俺が悪かった。ごめんな。」



私に背中を向けている南沢先輩はどこかシュンとしていて、いつもの南沢先輩ではなかった。



「彼女泣かせるなんて…最悪だな。」

「せ、先輩が悪いわけじゃ…。」

「いいや。悪いのは俺だ。姫の意見も聞かずにこういう事をしようとした。」

「南沢先輩……。」

「俺、まだまだガキだな。姫が大切でしょうがないのに、俺の雄は姫を求めて、早く自分のものにしようとしてしまう。」



ギュッと私を南沢先輩の胸板に押しつけられ、そのままワシャワシャと髪を撫でてくれる。


声は震えていて、まるで捨てられた子犬のようでいつもの南沢先輩の面影はなかった。



「南沢先輩、私…、先輩の事が大好きです。」

「……姫?」

「私、こういう事初めてで…だから…ちょっと怖くて…。」

「……………。」

「だけど、私。南沢先輩なら何されてもいいですから…!」



ギュッと服の裾をつかむと、南沢先輩は驚いたのか目を丸め私の事を見つめた。



「バカ…あまり可愛い事いうなよ。」

「え?」

「言っただろ?俺は姫が大切なんだ。だから姫を大切にしたい。」

「みなみ…さわ…せんぱ…、」

「だから無理すんな、俺はいつでも待てるから。」



チュッと優しいリップ音が聞こえたと思えば、キスの雨が降り注ぐ。


気持ち良くて目をつぶると、私は優しくベッドに押し倒され、南沢先輩もベッドに倒れた。



「先輩……?」

「そうだな…今日はたくさんキスしてやるよ。」

「えっ、」

「で、そしたらお前寝る。」

「ね、寝るんですか!?」

「あ?別にただ昼寝するだけだろ。」




あ、と思えばまた南沢先輩が意地悪な笑顔を見せてきた。

だけど、ぽんっと頭に軽く手を乗せて撫でてくれた。



「そうそう、今日のキスはいつもと違うからな。」

「え、それって…どうゆ…、んっ、」

「キスしたいだけするから。」



そういう南沢先輩は私が言い終わる前に私の中に入り込んできて、手をギュッと握ってくれた。


野獣の見せた横顔
(スー…スー、)
(ったく、そうも簡単に終わったら寝るなよな…。)


end

20万記念for丸でん。様
なんだか最近こういうネタ多いですね…まぁ中学生はだいたいこういう事を考えてi(ry←そしてセクシー担当な南沢先輩は特に←南沢先輩の口調がかなり迷子でごめんなさい。リクエスト本当にありがとうございました!

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