番外編
□剣城くんと帰り道
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「あっ!」
「…………。」
「つーるぎっ♪」
「…………。」
「つーるーぎー。」
「チッ、なんだよ…。」
「今帰り?」
「さぁな。」
「なら一緒に帰ろ?」
「いやだ。」
「いいじゃん!人肌が恋しい季節とかいうじゃん!」
「い、嫌だ!おおお前一人で帰れよ!というか、何勘違いするような事言ってんだよ!」
「嫌!剣城と帰るったら帰るの!というか勘違いって?」
「あぁーうっとうしい…。もういいわ…。」
「なら一緒に帰っていい?」
「………好きにしろ。」
そういうと姫は「やった♪」と嬉しそうに言った。
思わず頬を緩めそうになったが、ここはポーカーフェイスで頑張って耐えた。
剣城くんと帰り道
「…………。」
「…………。」
そして一緒に帰ったのはいいものの、姫との間に会話がないという状況になってしまった。
正直これは気まずかった。
しかし話さない分姫を観察してると、俺より少し小さい姫は上から見下ろすとまるで小動物のようにヒョコヒョコと歩いている。
こいつまつ毛こんなに長かったんだな…。
と、改めてこいつを見ているとなんだか知らない事がたくさんでてきた。
「ねぇ剣城。」
「な、なんだよ。」
急に俺の方を見てきて思わず目を反らしてしまった。
不意打ちとか、ずるいだろ。
「ねぇ、お腹すいた。」
「はぁ?」
「お腹すいた。剣城はお腹すかない?」
「別に……。」
「そっかー。」
「…………。」
「…………。」
て、また会話がおわっちゃったじゃねーか!
この状況を打破したかったのに、俺が終わらしたら意味ないだろ!
「な、なんでだ?」
「え?」
「なんでそんな事聞いたんだよ。」
「えーと…えへへ。」
そういいながら笑う姫は可愛くて、思わず俺が恥ずかしくなってしまった。
「もし剣城がお腹すいてたらコンビニ寄ろうとしてたけど、家まで我慢するよ。」
「……………。」
「え、わっ、ちょっと!剣城!?」
「いいから行くぞ。」
「ど、どこに?」
「コンビニ。」
俺は姫の手をグイッとひくとコンビニに向かった。
***
「いらっしゃいませー!」
「……………。」
「うわぁ、剣城ありがとう!」
「いいから、早く食いたいやつ選んで来いよ。」
「うん!」
そういうと、姫は食べたいものを選びにいってしまった。
ったく、まだまだ子供だな…。
って…俺はなんで姫のためにこんなことをしているんだ!!
「ったく…本当に気が狂う。」
俺は別に腹は減ってないし特に用もないため、姫を待つため外に出ていった──────。
「剣城!外で待ってたの!?」
買い物を終わらせた姫は俺をみてびっくりした。
「あぁ。」
「外とっても寒いじゃん!大丈夫なの?」
「こんくらい大したことねぇよ。」
「本当に?」
すると姫がズイッと顔を近付けるのでちょっとびっくりしてしまった。
無自覚って怖い。
「ばっ!顔ちけぇよ!」
「あ、ごめん。それと、はいこれ!」
そういって姫が差し出してきたのは、肉まんだった。
「寄ってくれたお礼!」
「……さ、サンキュー…。」
って普通は俺が奢らなきゃいけねぇんだけどな。
しかし俺は素直に肉まんを受け取った。
そして姫は袋からポッキーを取出し、ボリボリと食べだした。
「姫は寒くないのかよ?」
「寒いよ。」
「ならもっと温かいもの買えよ。バカだろ。」
「でもポッキー食べたかったんだもん。」
ボリボリと隣で食べる姫見て、俺は思わず食べていた肉まんをそのまま差し出してきた。
ってこれただの間接キスじゃねーかよおおおお!!!
つい無意識にやってしまったが、これはさすがにまずい。
今どきの女子ならどん引くだろうな。
「いいの?」
「あ、あぁ……。」
「いただきまーす。」
「っ………!」
姫はせめて俺が口を付けてないところに食べるかと思ったが…。
まさかの姫はダイレクトに俺が口をつけたところを食べてきやがった。
「うん!おいしい!ありがとう剣城!」
「…………。」
「剣城………?」
そうか、こいつを普通の女子と考えたのがいけなかった。
しかし、あの食べた後の笑顔は俺にとって心を鷲掴みにする最高の材料だった。
「剣城?大丈夫?」
「あ、あぁ…。」
「なら、もう暗いから帰ろ。」
「……………。」
「剣城?」
その時、俺はポケットに姫の手と俺の手を一緒にいれて歩きだした。
肉まんを持っていた俺の手とは対照的に、姫の手はとっても冷たかった。
「剣城の手、温かいね。」
「………っせーよ。いいから歩け。」
そう言いながら、俺はまた肉まんを食べだした。
end
20万記念forマギー様
剣城デレデレしてましたでしょうか?(´・ω・`)剣城のデレデレは夢優も大好きです(・o・)ぇ←とりあえず無自覚ヒロインを書きたかったのです!←振り回される剣城とか可愛い(^ω^)
リクエストありがとうございました!