愉快な日常

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「先生!!」

「逸人くん…!

や…やったのか…?」

「はい…それは確かに。しかし…この姿は……」

『(普通の人…?)』





「ううん、それがその人の本当の姿」



「「『!!!』」」

「夢が終わった…それだけのこと…」

「君は…」

「お…お姉…さん…?」




「…み…のぞ…み…わた…しの…のぞみ…」

「この映画館も…かつては純粋に人に夢を与える場所だった

子供は目を輝かせ…大人は童心に返り、恋人たちが涙する……そして…それがその人の願いだった…」

『お姉さんとその人は…』

「そ、親子だよ


怖い顔のお兄さん、それからそこの君…まさかマジにやるなんて思ってなかったよ


ありがとね……」

「……君にお礼を言われるようなことは何もしていない

僕は…僕のためにやった…」

『僕も、お姉さんのためにやった訳じゃないさ』

「いいや?最後に…いいもの、観せてくれたでしょ………」


「「「「『!』」」」」

「お姉さん…!?」

『体が…!』

「消えて………」

「ああ…!!あ…い、行か…ないで…くれ…!わ…わた…しの……!!」

『おじさん…』

「もう…終わったんだよ。ううん…初めから始まってすらいなかった

あんたもあたしも…ずっと夢の中に捕らわれていただけ………」

『……』

「<髪の毛の先ほどの可能性>……あたしにも………あの時…そこまでの勇気があったら………」



そう言ってお姉さんは──


────消えていった





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