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「おかしいよ…絶対」
ただいま、朝の八時半ちょっと前の日曜日。
この休日に少しばかりの早起きをして、自室がある二階から一階の居間へと降りて来た私は、起きた時、いや、寝ている時から思っていた不満を口にした。
「まだ6月だよ?なのに何でこんなに暑いの?」
そう。もう6月も終わり頃なのだが、例年はまだまだ過ごしやすい気温のはずなのに、もう朝の時点で暑い。
昨日の夜、寝ている時も暑くて寝苦しかった。
「おはよう。温暖化のせいかな?この頃は少しおかしいね」
ご飯の盛り付けてある茶碗を2つ持ってテーブルに置いたジェイフンは、暑さの割に今日も爽やかだ。
「おはよう。ずっとこんな調子なのかな?」
「どうだろう。今日は凄く暑いみたいだよ」
「えー?せっかくの休みなのに」
「そうだそうだ。外をうろつく気にもなりゃしねえぜ」
「シェンは問題起こささないように引きこもってた方がみんなの為になるよ」
「なんだと!?」
「おい止めろ。暑苦しい」
眉間に皺を寄せてシェンの頭を殴打した紅丸も暑いのだろう。長い髪を一つに束ねている。
「てめェの方が暑苦しいだろうが!そんな長い髪切っちまえ」
「うるさいな。働いてから俺に文句を言え!」
「ま、まあまあ兄さん達。朝ご飯が出来ましたから、ね?」
「そうだよ!冷めない内に、早く頂こう」
アーデルハイドとジェイフンのお陰で喧嘩は休戦となり、みんなが席に着いてご飯を食べ始めた。
開け放した窓からは一向に風が入って来ない。
扇風機も出していないので、動いていても暑いが、動いていなくても暑い。
「…扇風機欲しいね」
私が呟くと、シェンの横に座る紅丸が、長い脚で彼の椅子を勢い良く蹴った。
シェンは味噌汁を吹き出すが、向かいにいるジェイフンは自分の茶碗と皿などを持ち、サッと身をかわしたので無事もなく済んだ。
「おいコラニート!可愛い可愛い姫様が扇風機を所望してるぞ」
「お前が持ってこりゃ良いだろうが!」
「何もしねえんだからそれぐらいしろ!長男だろ!」
「こんな時だけ長男扱いしやがって!表出ろ表!」
「やってやろうじゃねえか!」
ドタバタと騒がしく出て行った二人を冷たい目で見送った私達は、三人で顔を見合わせて溜め息を吐いた。
「ご飯食べたら、買い物にでも行こうか」
「行く!」
「じゃあ、先に洗濯しておくね」
「ああ、頼む。すまないな。」
「私、掃除機かけるね」
「ありがとう。早いとこ出てかないと巻き込まれ兼ねないからな」
外からは「雷光拳!」だの「ぶっ飛べ!」だの聞こえてくる。