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「ふー、夜は涼しいね」
「そうだな。いい風だ」
「そうだ!お隣さんにスイカ貰ってね、朝から冷やしてあるんだ」
「ほう」
「食べない?」
「食うか」
「せっかくだし、スイカ割りしようよ」
「構わんが…木刀がないぞ」
「木刀なんか無くたって、庵んの技があるじゃん!」
「ぬぅ?」
「ほら!あれ!百弐拾七式・葵花の三段目で割ってよ!」



「いおりんっ!右!」
「ぬぅ」
「あっいい感じ!」
「むぅ」
「ずれた!左!」
「こうか?」
「そこだっ!行け!」
「ふん!ふん!はぁっ!」
「おおっ!見事にバラバラだ!」
「少しやりすぎたか」
「……なんだかこれ見て、庵んにをやられたKOF出場者の頭を想像しちゃった…」
「KOF出場者にはもっと手加減をしているから安心しろ」
「そっか…じゃ、早速食べよう!」
「ああ」



「おいしーい!やっぱり夏はスイカだよね!」
「まったくだ」
「これで、花火があったら最高の夏だよね」
「そうだな……ん、待てよ」
「どうしたの庵」
「確か押し入れに、去年の暮れに安売りしていた花火があったはずだ…持ってこよう」
「ほんとに!?庵んすごい!やるやる!」
「待っていろ」



「わっ!いろんな花火が入ってる!」
「どれでも好きなものからやるといい」
「じゃあ、これ!庵、火お願い!」
「どうしたぁ!」
「あれ…つかない」
「ぬぅ…どうしたぁ!」
「まただ。去年のだから湿気ってるのかな?」
「なに」
「他のもだめかな?線香花火につけてみて?」
「どうしたぁ!」
「あー!ついた!」
「こんなものか」
「綺麗だね。庵」
「ああ。お、お前の方が…」
「ん?」
「なんでもない」
「……花火も綺麗だけどさ、私、庵の出す炎も綺麗で好きだよ」




(火薬でも仕込めば、闇払いで打ち上げ花火ができるかもしれんな…。名無しの為だ。研究してみるか)

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