KOF2
□アイスの蓋とか
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〈アーデルハイドの場合〉
小難しい名前のパティシエが作った、一個500円以上するケーキが、アーデルハイドのご好意で名無しの前に出された。
「うわー!うわー!凄い!」
「お腹いっぱい食べなさい」
「うん!頂きます!」
名無しはケーキの周りに付いているセロファンを剥がした。
そかにはやはり、例の如く、美味しそうなクリームが沢山。
それを見て、名無しはゴクリと生唾を飲み込んだ。
アーデルハイドの見ていない内に、その魅惑的なセロファンを舐めてしまいたい。
だがしかし、アーデルハイドは名無しを見つめている。バレないように、と言うのは無理がありそうだ。
「名無し?食べないのか?」
「あ…うん…」
「どうした?」
「あ、のね、アデル…」
「名無し?」
「私の事、嫌わない…?」
「何があったって俺が名無しを嫌うはずがない!」
とても良く出来た青年だ。それに愛されている。
名無しにはもう、迷いなどなかった。彼ならば、自分の全てを包み隠さずにさらけ出す事が出来るだろう。
「私…!私、このセロファン舐めたい派なの…!ごめんね!マナー悪いとか、汚いとか全部わかってる!最初の一口だからか、やたらと美味しいの!ごめんね貧乏人で!貧民で!」
「何てワイルドなんだ…」
「え…?」
アーデルハイドは一瞬驚いたものの、名無しを蔑む事などしなかった。
それどころか、嬉しそうな顔をしている。
「ワイルドさも持ち合わせているなんて、名無しは理想通りの女性だ!」
「ワ、ワイルド」
「ああ!さ、早くそのセロファンを舐めてみてくれ!」
「え、いや、見られてると恥ずかしいかな…いくらアデルでも」
打ち明けたは良いが、逆に大変になった気がした。