SNK

□また買ってやるから
1ページ/1ページ


窓際の席は日差しが暖かくて眠くなる。
黒板には訳のわからない数式が沢山で、眠くならない訳が無い。
少し寝るか、なんて呑気な事を考えていると、隣の席の男の子から声が掛かった。

「名無し、この答えって何でこうなるかわかるか?」
「え?どれ?」

身を乗り出してノートを覗き込み、二人で悪戦苦闘。
数学は駄目なんだよねと笑い合う。
すると、後ろの席のロックに名前を呼ばれた。

「名字無し」
「何?」
「下敷き貸して」
「下敷き? はいどうぞ」
「ありがとう」

差し出した下敷きをロックが受け取ると、バキン。
一瞬、彼が何をしたのかわからなかった。
目を凝らして見ると、にこにこと微笑むロックの手には、勢い良く割られた下敷きが無惨な姿をしている。

「……何するの」
「扇ごうとしたら割れた」

謝る気は無いらしい。

「いや、でも、普通に割ったよね?」
「名字無しが他の男と話すからだ」

そう言って、ロックは半分に割れた下敷きを、更に割った。

「また買ってやるから。な?」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ