SNK

□トムヤム
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小春日和の日曜日、キム家の庭で名無しとジェイフンは他愛もない話に花を咲かせていた。

「ジェイフン、おもいっきり辛いチゲの他に好きな物は?」

好きな食べ物についての話題になっていたので、名無しはそんな質問を投げかけてみた。

「うーん…、トムヤムクンとかかな?」
「ト…トムヤム君!?」

その一言に、名無しはおののく。
食べ物の話を振ったつもりなのに、なぜトムヤム君などという男性の名前を出すのだろう。それ以前に誰なのか、聞きたいけど聞けない。

「……名無し?どうかした?」
「えっ!?別に!?」
「…??…なら、良いけど」

名無しの慌てようにジェイフンは不思議そうな顔をしている。
でも名無しは、動揺を隠すことができない。

「……ジェイフン、トムヤム君のどこが好きなの…?」

耐えきれずついに聞いてしまった。
トムヤム「君」と言うからには男で、ジェイフンも男で。
名無しはジェイフンがどんな答えを出そうと、冷静に受け入れる心の準備をした。

「美味しいし…辛い所かな!」

ジェイフンが爽やかな笑顔と共にそう言い放った瞬間、名無しは愕然とした。
トムヤム君はトムヤムクンであり、そして食べ物なのだと。

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