KOF

□対決 妹vs彼女
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バーンシュタイン家にお呼ばれされて、名無しは豪邸を訪れた。
相も変わらずでかくて綺麗で高そうで、生粋の庶民である名無しは、何度来ても慣れない。
物凄い大理石の階段を上がってアーデルハイドの部屋に行き、これはもうふっかふかなソファーに座った。

「お茶を取ってくるから、待っていて」
「あ、お構いなく!」

出て行くアーデルハイドの背中を見ていると、入れ違いに彼の妹、ローズが入って来た。
実はこのローズ、名無しがアーデルハイドと付き合い出した頃から名無しを敵視しているのだ。
かなりのブラコンなので仕方の無い事なのかも知れないが、度を越えている時がある。

「あーら、また貧相な方が来ていらしたのね」
「ローズちゃん居たんだね。あ、入って来た時に聞こえた雑音って、もしかしてローズちゃんのピアノだった?」

にこにこと笑い合う反面、火花が散っている。心なしかバチバチと音も聞こえるようだ。
これはもう毎度の事になっているのだが、やるたびに口論が激しくなっていく。
最初はローズに罵られ落ち込んでいた名無しも、今やここまで言い返せるようになってきた。

「達者なお口ですこと。すぐに黙らせてあげますわ!」
「やるなら徹底的にお願いね。中途半端なのは嫌いだから」
「あなたが着ているの、よい服ですわね。バーゲンセールでお買いになったのかしら?」
「ローズちゃんのそのメイク、とても個性的。この家の中だけで流行最先端なんだろうね」
「そんなに粗雑な性格ですと、お兄様も嫌気がさしているでしょうね…可哀想ですわ」
「でも、アデルは私の方が好きみたいだけど」
「何ですって!?お兄様はローズの事が一番好きなのよ!」

ローズが名無しの襟元に掴みかかった瞬間、かなりタイミング良く戻って来たアーデルハイドが声を上げた。

「ローズ!名無しに何をするんだ!」
「!?!?」
「アデル!怖かったよお」

声にならない声を上げ、青い顔をして驚いているローズ。ニヤニヤと笑いながらアーデルハイドに抱き付く名無し。怒りを向けるアーデルハイド。

「お兄様、この女が…!」
「いくらローズでも、名無しを悪く言うならお兄ちゃんは怒るぞ!」
「!!」

溢れる涙を抑えながらローズは出て行ってしまった。少し不憫に思えるが、仕方がない事だ。

「名無し、大丈夫か?」
「うん。アデルが助けてくれたから…」
「すまない」

アーデルハイドは名無しの頬にキスをして、抱きしめた。
この関係が続く以上、名無しとローズの敵対関係は続くかも知れない。
今回は勝つ事が出来たが、いつもアーデルハイドが助けてくれる訳では無い。
だが、これからも負ける気などさらさら無いのだ。
勝つ為に、名無しはもっと嫌味を言えるように鍛える事にした。

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