KOF

□Honey
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「俺のプリンが無い!」

冷蔵庫の中を引っ掻き回して、京は何度もそう喚き散らしている。お陰で中の食材が散乱していて、迷惑極まりない。

「俺のはちみつ牛乳プリンがねえんだよ!!」
「京、うるさい」
「お前だろ!お前が食ったんだろ名無し!」

名無しの肩を持ち、体を揺する。
京の目にはうっすらと涙が溜まっている始末で、本気で口惜しいようだ。

「私は食べてないよ…」
「じゃあ誰が食ったってんだよ!?」
「し、真吾君じゃない?」
「真吾は家に来てねえんだよ!燃やすぞ!」

彼はわざとらしく泣き声を上げながら床に倒れ込んだ。
敷いてある絨毯に、ぽつりぽつりと涙が染み込んでいく。
そんな様子を見ていて、いたたまれ無くなった名無しはとうとう白状をする事を決意した。

「すみません。私が食べました」
「俺のプリンを返せ!」
「買ってくるって」
「それだけじゃ俺の傷は癒やされねえんだよ!」
「…しょうがないな」

一つ溜め息をついて冷蔵庫へと向かう。
冷凍室を開け、名無しが取り出したのは昔懐かしい一口ゼリーだった。

「特製の一口ゼリーあげるから」
「どこが特製なんだよ」
「いや、よく見てよ」

京は差し出されたゼリーを手に取って見ると、それは確かに、見慣れた一口ゼリーでは無い。
いや。一口ゼリーなのだが、中に脳味噌のような気色の悪い模様が浮かんでいるのだ。

「何だこれ!きっしょくわりぃな!!」
「えへ。一口ゼリーを冷凍庫に入れると、脳味噌みたいな模様が浮き出るんだよ!みんなやってるよ!」
「誰もやらねーって。てか名無し、はちみつ牛乳プリン2個買って来いな」
「お金は?」
「勿論お前持ちだ。アホ」

この後、京に「五分以内に買って来い」と言われ、名無しは近くのコンビニへと走らされた。



 

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