KOF

□私の彼氏とお食事会
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紅丸に告白されて付き合う事になったのはつい昨日の話。
仕事中もその事を思い出すと、名無しの口元は密かに緩んでしまっていた。

午後6時過ぎに仕事は終わり、会社を出ると玄関に横付けされた見覚えのあるオープンカー。
そこから名無しの口元を緩ませている張本人が降りて来た。

「紅丸」
「お迎えに上がったよ、姫。さ、早く乗って」

手を引き、助手席のドアを開けて名無しを車に押し込む。
紅丸は運転席に乗り込んでエンジンをかけた。

「お疲れ様。お腹空いただろ?」
「…空いたけど、何でいるの?」
「名無しに会いたかったんだよ。フレンチで良いか?」
「う、うん。じゃなくて、恥ずかしいから会社まで来ないでよ…」
「照れる顔も可愛いよ」

照れては無いのだが、紅丸にはそう言っても無駄だろうと感じて、口には出さなかった。
20分程車を走らせると、いかにも高級そうな外装の店に辿り着く。車を停めて入り口まで行くとボーイさんがいて、着飾った人しか入れないような店なのではと気付く。

「こ、ここって正装しなきゃいけない店?」
「ああ、そうだよ」

名無しは会社帰りなので一応スーツを着ているが、中を覗いて見ればドレスを着た女性ばかりだ。
よく見れば紅丸もタキシードを着こなしていて、益々場違いに思えた。

「絶対場違いだよね?」
「大丈夫。名無しのドレス一式買ってきたから」
「買ってきた!?」

当たり前だろと言って、名無しにブランド物のショッピングバッグを差し出した。
中を見ると、ドレスはおろか靴も鞄もアクセサリーも入っている。
紅丸はボーイに声をかけ、名無しの着替えの為に予約した一室に案内させた。
そこですっかりと着替え、初めての正装に緊張しながら紅丸が待っているレストランへと赴く。
それに気付いた彼は席を立ち、名無しの椅子を引いて席に着かせた。

「凄く綺麗。思った通りだ」
「何から何までありがとう。紅丸」

向かい合って座ると何やら照れる。
恥ずかしさと緊張で、紅丸との会話もせっかくの食事の味も、あまり覚えていない。
大きな窓越しの夜景を見ていた記憶しか無かったような気がする。
食事も終わり外に出て車に乗り込むと、なぜか紅丸がやけにニヤニヤしている。

「名無し」
「な、何?」
「この後時間ある?」
「うん、多分」
「じゃあ、名無しも美味しく頂いちゃって良い?」
「……は?変態!」
「酷いな。恋人同士なんだぜ?それに俺は、何年もお預け食らってる」
「馬鹿!変態!」

このあと、名無しは強制的に連行され紅丸に美味しく頂かれました。
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