KOF

□君の内緒
1ページ/1ページ


先程から、名無しは何やらブツブツと呟きながら電話の前を行ったり来たり。
私もそれに合わせて、そわそわしているフリをする。

「まだかな…どうしよう、アルバさん…」
「大丈夫だ。落ち着きなさい」

待っているのは、名無しが就職試験を受けた企業からの電話。
二人でうろうろしていると、電話の着信音が鳴った。

「はい!名字無しです!」

ワンコール待たずに名無しは受話器を取り上げた。ワン切りもビックリだろう。

「はい、本当ですか!?有難う御座います!」

それまで心配そうな顔をしていた名無しは、パッと表情を明るくさせた。
どうやら合格したようだな。一安心だ。

「はい!宜しく御願い致します!では、失礼します!」

喜びに満ち溢れた顔で電話を切ると、すぐさま私に抱き付いてきた。

「合格だよアルバさん!」
「よくやったな、名無し」
「受けてた人多かったから、落ちるかと思ってたのに!」

優しく頭を撫でて、力一杯抱きしめた。苦しいよ、と言われたが気にしてはいられない。
おめでとう名無し。
まあ、名無しを合格させるように私が企業に圧力をかけていたと言う事は内緒だが。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ