KOF

□Auserlesen
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テレビからは賑やかな歓声が聞こえてくる。
映し出されるのはサイキックアイドルの麻宮アテナ。
拳崇はその真ん前に陣取って、肉まんを片手にテレビに食いついている。

「ほんま、アテナはかわええなぁ」
「この笑顔がたまらへんのや」
「L・O・V・E!ア・テ・ナ!」

などと、目をハートにしながら叫ぶ拳崇に、名無しはかなりイラついている様子だ。

「ねぇ、拳崇」
「話しかけやんといてや!」
「……」

彼女である名無しに「話しかけるな」とは何事であろうか。
テレビを消してやろうかと思ったりしたが、名無しはそこまで非情では無い。

「アテナ、好きやでー!」

名無しのイラつきはこの時点で限界を超えており、手にしていたリモコンを拳崇目掛けて投げつける。

「アテナは俺が守っ...!」
「黙らっしゃい!」

勢い良く飛んだリモコンは拳崇の頭にぶち当たった。
拳崇は前のめりになるが、なんとか体勢を立て直す。

「な…何やってんねん!」
「ほーお、それは挑発か?」

名無しは拳の関節をポキポキと鳴らしながら拳崇の前に仁王立ちする。

「い…いや、これは昔使っとった挑発やなくてな、名無し…」
「拳崇、私とアテナ。どっちが好き?」

固く握った拳をちらつかせながら笑う名無しは、怖い。

「……そ、そりゃ名無しに決まっとるやろ!」
「だよね!私も拳崇が大好きだよ!」
「…お、おお俺らラブラブやもんな!」

名無しの怒りは解けたが、相当怖かったので、拳崇はアテナに会うのもテレビで見るのも自主規制しましたとさ。

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