KOF
□うそつき
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「シェンー!お昼ご飯、カップ麺で良い?」
キッチンに居る名無しは、リビングでテレビを見ているシェンに大声で呼びかけた。
「おー」
そんなぬるい返事を聞くと、名無しはヤカンを火にかけてお湯を沸かす。
棚から自分が食べたいカップ麺とシェンの好きそうなものを取り出してビニールを剥き、手順通りに調理していく。
かやくを麺の上にあけ、粉末スープの袋を破く。
破く、が、開かない。
「あれ?おかしいな…」
冷静になって袋を見ると矢印がしてあり「どこからでも開きます」と書いてある。
該当する箇所を破くが、またしても開かない。
「なにこれ開かない!嘘吐き!嘘吐き!」
「な、何だ!?俺は嘘なんかついてないからな!?」
名無しの声に驚いたシェンはリビングから飛び出し駆け付けた。
彼女は何かを振り回しながら叫んでいる。あまりにも異様な光景だ。
「馬鹿にしてんのか?ええ!?私を陥れたいのか!誰の陰謀だ何の策略だ孔明の罠か!」
「落ち着け名無し!」
シェンは名無しがズタズタにした粉末スープを取り上げ、必死になだめすかす。
「ほら、粉末スープは俺が開けてやるから、な?」
取り上げた袋にハサミで切り込みを入れて開け、麺の上に振りかけた。
「あ、お湯も沸いたみたいだし、もう直ぐ食べれるぜ?名無し」
「…………うん」
昼ご飯を食べた名無しの機嫌は直ったが、それから暫く、カップ麺作りはシェンが担当する事になった。