KOF2

□Liebe!Liebe!Liebe!
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「アデル!」
「わ、名無し!」

のんびりと一人で散歩をしていたアーデルハイドを見つけた名無しは即座に飛び付いた。
背中に手を回し、2〜30cm身長差があるので、見上げてアーデルハイドの端正な顔を拝んだ。

「うん!今日もカッコイイね!」
「な、そ、そんな事は、ない」
「ああもうアデル可愛い。好き」
「す!?」
「アデル顔真っ赤!本当に可愛いなあ」
「俺をからかうんじゃない!」

そう言いはするが、やはりアーデルハイドが怒っても怖くはなく、名無しは笑いながら彼の胸に顔を埋めた。
人通りが全く無いのが幸いか。

「私、アデルの事大好きだよ」
「そう言うのは、本当に好きな人に言うものだ」
「本気じゃないと思ってるの?」
「!!!」

抱きしめていた腕を離し、アーデルハイドの頬を両手で包む。
名無しの言動でのぼせて火照っていたので冷たい手が心地良かったが、彼女が見つめるもので、また上気した。
そんな様子を見て、名無しは破顔一笑。
アーデルハイドの髪をくしゃくしゃとかき乱すように撫で回す。

「困ってるアデルの顔が好きなんだよね」
「…またからかったのか」
「ごめんね!」

結局自分は、名無しにとって冷やかしの対象でしかないのかと思う。
何とも悔しいような気持ちがして、また抱き付いていた名無しの体を出来るだけやんわりと離した。

「もう俺を弄ぶのは止めなさい」
「無理だよ。アデルの事好きだから」
「だから!」
「冗談じゃないよ」
「……もう騙されない」
「用心深いアデルも好き!可愛い可愛い」
「名無し!」

アーデルハイドの物思いも素知らぬ顔で、名無しは彼の腕を引いて歩き出す。

「アデル!散歩しよう!」
「な...」
「こうしてると恋人みたいだね」
「またそう言う事を…」
「じゃあ、どうすれば付き合ってくれる?」

たまにこうして、いかにも真面目な顔と声で言うのだ。
冗談だと思っていても、アーデルハイドはドキドキして、期待してしまう。

「それは、本当に好きな人に言うものだって、何回言えば…」
「本当にアデルが好きだよ。ずっと大好き。アデルは私の事嫌い?」
「………嫌いじゃない…俺は、俺だって、す…」
「す?」
「何でもない…!」
「やだ言って言って!」
「言わない!」

何だかんだ言っても、この関係が十分嬉しくて。
素直になれずからかっている名無しも、彼女の本心が掴めないアーデルハイドも、いつ一歩踏み込めるのだろう。

「もうアデル大好き!私のお嫁さんになって!」
「………名無しがお嫁に来てくれるなら...」

心配しなくても、本当の気持ちを確認し合う日は、そう遠くはない未来にある。

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