KOF2
□サラスト
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掬えば、指の間からさらさらと流れ落ちる。光を受ければ、艶々と輝く。
「何をしたらこんなにサラサラになるかな」
「特に何もしてないぜ?」
下ろしてある紅丸の髪を弄びながら、これは何か秘訣があるはずだと、名無しはじっくりと観察している。
指にくるくると巻いても、離せば元通り。
寝癖が付いた事はあるのだろうか。いや、無いだろう。
「男のくせにサラサラストレートだなんて。その上金髪」
「俺は名無しの髪も大好きだよ」
「綺麗な髪の男に言われても説得力無い」
「そんな事言うなよ」
「刈り取ってやりたい位悔しい」
「名無しが短髪の方が好きってんなら切るぜ?」
「駄目だよ。綺麗な髪だもん」
エクステにしたら高く売れそうだけどねと笑う名無しの黒い髪を手に取り、愛おしそうに撫でる。
それをくすぐったく思い、名無しは身をよじった。
「俺は名無しの全部が好きだ」
軽くキスをすると、紅丸の長く垂れた髪が名無しの顔にかかる。
その髪からは、自分のよりも良い匂いが漂って来た。
「ねえ紅丸。本当に何のシャンプー使ってるの?」
「知りたいか?」
「勿論」
「じゃあ、今日一緒に風呂入ってくれたら教えてあげる」
「……なら良いや。風呂場覗いて何のシャンプーか見れば良いだけだし」
「だーめ。もう決定したから」
「ええ!?」
逃がさないよと耳元で呟かれたら、逃げられる訳がない。
名無しは恨みを込めて、紅丸の髪を力一杯引っ張った。