KOF2
□スカイノアの少女アデル
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名無しには兼ねてからやりたかった事がある。
ハイジ(アーデルハイド)とハイジを見る。これだ。
それを実行するには今しか無い。
丁度名無しの家にアーデルハイドが居るし、手元にハイジのDVDもある。
「ね、アデル!……ハイジ見たいんだけど、良いかな?」
「ああ。良いよ」
爽やかに一笑。
こいつ、全く動じていない。アーデルハイドの平然とした態度に、逆に名無しが動揺してしまった。
「あー…、面白いよね!アルプスの少女アデルって」
少々露骨だが、これならどうだと言わんばかりに名無し渾身のギャグを飛ばした。
「名無し、アルプスの少女ハイジだよ」
クスクスと上品に笑うアーデルハイド。
名無しがアーデルハイドを馬鹿にしているのがわからないのだろうか。
鈍いのか、何なのか。
もしかして、馬鹿にされているのをわかっていて、ひらりと優雅にかわしているのかも知れない。
侮り難しアデルと、名無しは唇を噛んだ。
「アーデルハイドってさ、良い名前だよね」
「そうかな。名無しの方が良い名前だと思うよ」
「ありがとう。アデルは自分の名前って好き?」
「……昔はあまり好きじゃなかったな」
「何で!?」
待ってましたとばかりに詰め寄る。
アーデルハイドと言う名前は一般的には女性名で、愛称はハイジになると言う説が聞きたかったのだ。
「………まあ、色々と…」
「え?」
「ほら、ハイジを見ないと!」
名無しの目論見に気付いたようだが、華麗に誤魔化された。
アーデルハイドとハイジを見ると言う願いは叶ったのに、アーデルハイドが嫌がったり怒ったりする姿は見れなかった。