小説

□理解不能
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辺りは真っ暗。









月や星さえも見えない、











真っ暗闇の中で、




















「  理解不能  」







































俺にぴったりな


夜だな、











なんて思いながら、








合宿所の宿舎の周りを




走り続ける。























(あいつなんかに負けないように)













そう思うと、








ゴーグルにドレッド頭の



むかつく顔が出てくる。













(…いや、





むかついてんのは向こうの方か)













さぞかし






今日の試合で惨めな俺を見て、










スッキリしたんだろうなぁ











なんて皮肉を

脳内に巡らせながら、











クソ、











と、





思いきり土を蹴って走った。






































(…もう、この辺で良いか)













いつも通り位の距離を走ると、











走るのを止め、









歩き始めた。



















…すると、













(…うっ)









突然吐き気が俺を襲った。












(…力を入れて走りすぎたか…)













そう後悔しながら



たまらずしゃがみこみ、









休んでいると、














「…大丈夫か?」











と、背をさする誰かが居た。












(監督か…?)














監督にこんな姿を見られては、








次の試合に


出してもらえないかもしれない、










と、





慌てて立ち上がる。













「…だ、大丈夫だから、




監督…っ」
















しかし、







足も言うことを聞かないようで、









ガタガタと震えて、






うまく立てない。
















「…本当に大丈夫か?










それに俺は監督ではないぞ」












一瞬、






意味が分からなくなって











自分を支えてくれた手を振り切って、











後ろへ振り返った。


















「…チ、





鬼道…お前かよ…!!」












「悪かったな、不動。




俺で」






















よりによってこんな状態で










鬼道と出くわしてしまうなんて。


















「…ご心配痛み入るぜ。










でもご心配無く。











お前には







そんな心配される義理ねーわ」

















そう言って

歩き出そうとするが、














気持ち悪くなって、







壁に寄りかかる。












「…ほら、



言わんこっちゃない」





















「…は、はぁ…っ





う、るせ……っく…」










そのままズルズルと、







へたりこんだ。













「…文句は言うなよ」















鬼道は俺を抱き起こし、











壁にもたれさせた。












俺は文句を言う気力も無く、











ただされるがまま、










じっとしていた。





















すると、鬼道も横に座る。












「…おい…」












「良いだろう、



俺も休みたいんだ」















……こいつの思考が、







全く読めなかった。











「…お前は、




俺を恨んでるんじゃないのか」
















「…恨んでるさ」



















…そう言って、








鬼道は俺の頭に手を乗せた。
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