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□愛の手紙
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「母さんが死んだら、兄弟皆仲良くするんやで…」

そう言って、母は静かに息を引き取った。




由緒ある旧家での騒々しい葬儀にも一段落つき、私と和は縁側でお茶を飲んでいた。
「親父死ぬの早かったけど、おかんも早く死んでもうたな」
「せやね。兄弟三人、使用人の有菜さん含めて四人。広い家やのに寂しい」
「巧兄がはやく結婚すればええんよ。彼女さん可愛いし」
「人の彼女の話はせんでええからおかんの遺品整理するの手伝ってや」
「「巧兄!!」」
「そんなん有菜さんにやらせればええやん」
「あいつ今までおかんの世話で忙しかったさかい、今日くらい休ましたり」
「私にももうちょい悲しみに浸る時間くれたってええやん。巧兄は淡白やな」
「淡白ちゃうし!これからは俺が当主なんやから、しっかりせなあかんの」
「まぁま、兄ちゃんもお茶飲んでき」
「和おおきに」




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