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□月夜のオッドアイ
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「・・・くしゅっ」



くしゃみで目が覚めた。
瞳を開けると地面が濡れていて、自分の身体も濡れていることに気がついた。



「にゃ〜・・」
(ひさしぶりに太陽に包まれての日向ぼっこだったのに・・)



さっきまでは見えていた太陽。
今はその姿はなく、代わりに真っ黒な雲が空を覆っていて大粒の雨が降り出していた。



「にゃあ」
(また雨か)



ひとまずは近くの木の根元に避難。
濡れた身体をぶるぶると振るって雫を飛ばす。
見上げた空は晴れる気配なんて見せなくて、しばらくそこに佇んでいた。
このままここにいてももっと寒くなるだけだし、おなかもすいて限界に達しそう。
どうしよう。
こうしていても拉致があかないことはわかってる。
でも、この雨の中を動く気力もない。



「にゃあ〜」
(あぁ、どうしよう)



雨vs腹ペコ。



「・・・にゃあ!」
(よし、行こう!)



覚悟を決めた。
あったかい場所を探しに行こう。
なにかごはんくれる人を探しに行こう。

どしゃぶりの中、あたしは歩き出した。


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