casual dream
□first love -16-
6ページ/7ページ
『幸せそうに食うよな、麻生は』
なんて笑ってる狩野くん。
でも、カチンとフォークを置いて、頬杖をついて私を見た。
『・・・あいつの話、本当なのか?』
あぁ、狩野くんが聞きたいことはこのことか。
「・・・うん。なにも連絡ないし、この前だって・・・」
『なんだよ』
「廊下で目そらされた。いつもなら絶対に話しかけてくれるのに」
『・・・そっか』
ちらりと視線が首元に泳いだ。
『指輪は?』
「え?・・・あぁ、はずしたよ。もう、つけていられないでしょ?」
『・・・いいのかよ、このままで。あいつに正面から言われたわけじゃないんだろ?』
たしかにその通り。
先輩からの明確な言葉はなかった。
「でもね、もう答え出てるでしょ?」
『答え?』
「私と一緒にいれないって言って、優衣先輩とデートしてる。私のこと、無視する。・・・私、恋愛初心者だけどわかるよ。これってもう、付き合ってないよね?」
『・・・・・・・』
紅茶が苦く感じる。
.