casual dream
□first love -15-
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『・・・おい、麻生、どうしたんだよ。これ、うまいぞ?』
『うまいぞって狩野くん、作ったの、私なんだけどっ』
『まぁ、細かいことはいいじゃん』
『もうっ』
ほら、と差し出されたトリュフ。
口に入れるとほろ苦くて、一気に涙が溢れてきた。
『え、水城?ちょ・・・どうしたの?』
『水城?』
二人が慌てている。
『・・・麻生、もしかして、あいつになにかされたのか?』
狩野くんは先輩をあいつ呼ばわりする。
「・・・おいしいよ、志穂ちゃん」
『いや、水城、感想はいいから・・・・』
「・・・私、バレンタインの予定、なくなっちゃった」
『・・・え?』
三人がきょとんとした声をあげた。
「えへへ、私、先輩に振られちゃったみたい」
笑っていたはずなのに、いつの間にかいっぱい泣いていた。
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