casual dream
□first love -14-
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隣を通り過ぎた。
先輩と距離の狭まった右腕だけがやけに熱く感じた。
ケン先輩が「あっ・・」って私に気づいて声をかけようとしたけれど、その声も宙に消えた。
・・・これが現実。
化学室の椅子に座って、深いため息をついた。
なにもわかっていなかった。
あの言葉が別れの言葉だったなんて。
私は素直に信じちゃうよ?
「待ってて」って言われたら待っちゃう。
抱きしめられたら大切にしてくれてるって思っちゃう。
―y「ごめん、水城」
あれは、「別れよう、ごめん、水城」ってことだったんだね。
先輩・・・わかりづらいよ。
窓の外は雨が降っていた。
先輩と出会わせてくれたのも雨。
でも、別れに気づいた日も雨だなんて。
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