casual dream
□first love -14-
7ページ/8ページ
次の日。
やっぱり顔は最悪のままだった。
別れるだなんて信じたくなくて、いつものようにリングをぶら下げていた。
これが先輩と私を繋いでくれていると思ったから。
『水城―、化学室行こう?』
「・・・うん」
運の悪いことに次の授業は化学。
重い身体を起こして化学室に向かう。
今日は先輩に会いたくない。
どうか会いませんように。
そんなことを願いながら廊下を進む。
2年生のクラスを通り過ぎるとき。
願いは叶わずに廊下には幸宏先輩がいた。
ケン先輩と話している。
ドキンとした。
そして、手が冷たくなって、逃げ出したい衝動に駆られた。
距離は近づく。
足音より心臓の音のほうがうるさい。
先輩も私に気づいた。
ケン先輩と話しながらも私を見ている。
その表情からは感情は読み取れない。
怖い。
そう思って付き合う前のように、目をそらしそうになったとき。
先に幸宏先輩が目をそらした。
まるで私のことなんて気づいていないかのように。
.