casual dream

□first love -14-
6ページ/8ページ


ごくんと唾を飲み込んだ。
喉はカラカラだった。

ヨリを戻す?
じゃあ、私は・・・



『幸宏くん、ようやくわかったみたい。やっぱり私のこと好きって』

「・・・」

『だから、悪いんだけど・・・もう彼につきまとわないでね?これ以上、嫌われたくないでしょ?』



嫌う・・・?
私、嫌われてたの?



『言いたいことはそれだけなの。今も玄関に幸宏くん待たせてるから行くね?』

「・・・・・・・」



とんとんと軽やかに階段を駆け下りていく優衣先輩。
引き止めることも、反論することもできずに、ただ立っていることしかできなかった。



・・・本当なのかな。
嘘なんじゃないかな。
だって、幸宏先輩、別れるなんて一言も言ってないのに。

玄関で待たせているという言葉が気になって、階段の窓から下を覗いてみてみた。
ちょうどここは玄関の真上に当たる場所。

すぐにわかる後ろ姿が見えた。



あれは・・・



「・・・・っ」



幸宏先輩と優衣先輩だ・・・。

静かに階段をおりた。
部活に行く気にもなれなかった。
手に持っていたジュースもぬるくなっていて、そのままカバンに放り込んで。
まっすぐに家に帰った。







ポスン。
ベットに沈む身体。
ダイブしたときにチャリっと音がした。
それはクリスマスにもらってチェーンに通して首にさげていたリング。

指に通して見る。



「先輩・・・」



なにも考えたくなかった。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ