casual dream
□first love -10-
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待ち合わせ場所はいつものところ。
駅西口のミスド前。
すでに先輩は来ていた。
「すみません」
y「ううん」
手を繋いで、人の波に乗る。
「・・・先週のライブはどうでしたか?」
歩きながらいつものように話す。
先週、先輩はバイトでライブハウスの警備をしていた。
y「うーん、ちょっと音が薄いかんじだったかなぁ。もっとギターがゴツゴツしてるのが好きなんだよね」
「あんまり好みじゃなかったってことですか?」
y「まぁ、正直に言えばそうだね」
「ラルクのほうがよかった?」
ラルクっていうのは最近決まったらしい先輩達のバンドの名前。
正式名称はL’Arc〜en〜Ciel、フランス語で虹って意味なんだって。
名付け親はテツくんらしい。
y「よかった、なんて言ったらクレームくるよな」
「・・・先輩は高校卒業したらどうするんですか?」
y「卒業したら?・・・バンドで食っていきたいけど、それもどうだろうなぁ。とりあえず、大学には行っとくよ」
先輩の口から出た大学は地元の大学だった。
y「水城は?3学期までにクラス分けの調査書出さなきゃいけないんじゃねぇの?」
「そうなんですよ。でも、決まってなくて・・・っていうか、なにがしたいとかわからなくて」
y「ふーん」
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