casual dream

□first love -16-
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「あぁ〜あ、バレンタイン用にお菓子の材料買ったのに無駄になっちゃったー」

『・・・俺に作れよ』

「狩野くん、バレンタインなのに「作れ」って命令形なの?」

『おぅ』

「俺様〜」



似ているけどね、そういうところ。



「ごちそうさまでした!おいしかったー。狩野くん、ありがとね?いいお店おしえてもらっちゃった♪」

『いいや』



外もすっかり暗い。
伝票を持って立ち上がろうとすると先に奪われた。



「狩野くん?」

『かわいそうなおまえに奢ってやる』

「え?いいよ!私が奢る約束だもん」

『次な?』

「え?」

『もっと高い店のやつ、奢ってもらうから、今回はいい』



ぶっきらぼうな優しさに先輩を思い出した。












外は雪が降り出していた。

こんな中、先輩と歩けたらいいのに。



もう、叶わない願いだけれど。



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