casual dream
□first love -8-
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『はい。これ、期末に出すから覚えておけよ』
『うわー』
化学の授業。
テストに出るのはmolの計算式らしい。
ぜんぜん意味わかんないや。
あとで先輩におしえてもらおう。
幸宏先輩、理系クラスだけあって強いんだよねぇ。
そういえば。
2年生にするクラス分け、どうしよう。
シャーペンをしまいながら考える。
うちの学校は2年生になる段階で「就職クラス」「文系進学クラス」「理系・私立系進学クラス」の3つにクラス分けされる。
その希望調査書を出さなきゃいけないんだけど、自分がどうしたのか、わからない。
なりたい仕事。
勉強したいこと。
どれもはっきりしない。
『水城―、教室戻ろう?』
「うんー」
化学室から出ると向かい側の2年生のクラスに幸宏先輩がいた。
いっせいにクラスメイトは静かに通り過ぎる。
何度見てもこの光景はおかしいなぁ。
そんなに怖くないのになぁ。
「先輩ー、今度勉強おしえてください」
y「なんの教科?」
「化学です。mol、テストに出るって言われたんですけど・・・さっぱり・・・」
y「わかんない?」
「笑わないでくださいよーっ」
y「いいよ、おしえてあげる」
「ありがとうございますっ」
ちょっとでも会話できるとその日が幸せな気持ちになる。
それは・・・先輩だから。
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